親鸞仏教センター
お問い合わせ
 
「現代を生きる人々」と対話するために
HOME親鸞仏教センター概要アクセスサイトマップ
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内研究員一覧
 HOME > 濁浪清風
濁浪清風
「願に生きる」ということ(2)
   『愚禿鈔』にある言葉は、親鸞による本願の信心の領受を表している。そこでは善導の『往生礼讃』の文「前念命終 後念即生」を、本願成就の文「願生彼国 即得往生」に照らし合わせて、「本願を信受するは、前念命終なり。即得往生は後念即生なり」(聖典430頁)と示されている。これによって曽我量深は、「信に死し、願に生きよ」というテーマを感得されたのである。

  その「願に生きよ」とは「願生」の主体的了解として、如来の本願に誓われている「我が国に生まれんと欲(おも)え」という如来からの勅命を、自己に受け止めた表現である。それは親鸞の仮名聖教(『唯信鈔文意』など)における本願成就文の「願生」の了解によっているのであろう。この「願生」(生まれんと願え)の了解を考察するについて、実はこの言葉には多義性というか、深い重層性というべきものがあることを指摘しておきたい。

  浄土教一般の情念は、「厭離(おんり)穢土 欣求(ごんぐ)浄土」と言われているが、その「厭離」の面は、『愚禿鈔』では「竪出」とされていて、これは「難行道の教なり、厭離をもって本とす、自力の心なるがゆえなり」(聖典438頁)とされている。

   これに先だって『愚禿鈔』には、「阿弥陀如来選択本願を除きて已外、大小・権実・顕密の諸教、みなこれ、難行道・聖道門なり」(聖典425頁)とあって、大きくは選択本願による信心以外の立場は、自力であるとされている。そして、その本願の受け止め、いわゆる浄土の教えによる「願生」であっても、「易行道・浄土門の教、これを浄土回向発願自力方便の仮門」(聖典同上)とされるものがあると押さえるのである。自分に起こる「願い」としての「欣求浄土」がこれに当たるのであろう。この「欣求浄土」の「欣求」を『愚禿鈔』では「横出」に位置づけている。「横出」とは、「他力中の自力なり」とされ、さらに「横出とは易行道の教なり。欣求をもって本とす」とも押さえられている(聖典438頁)。

   『無量寿経』の本願の中に、「機の三願」と言われている願がある。第十八・十九・二〇願である。この三願に通じて「至心」と「欲生我国」があり、その二語の間に、それぞれ「信楽」「発願」「回向」という語が置かれている。この「至心・発願・欲生我国」、「至心・回向・欲生我国」に応ずる「願生」が、『愚禿鈔』に押さえられている「厭離穢土 欣求浄土」に相当すると思われる。そして、「至心・信楽・欲生我国」の成就文が、「願生彼国 即得往生」なのである。

   化身土巻」の巻頭(聖典325頁)を見ると、「無量寿仏観経の意」という語と「阿弥陀経の意なり」という語が並列して書かれてあり、その隣にそれぞれ「至心発願の願」と「至心回向の願」の語が置かれ、その下段にそれぞれ二行に分けて「邪定聚機 双樹林下往生」「不定聚機 難思往生」と書かれている。(続く) (2020年8月)

最近の『濁浪清風』一覧
Backnember ページトップへ
濁浪清風今との出会いブックレビュー
研究活動報告出版物紹介講座案内バックナンバー一覧
親鸞仏教センター
MAP
親鸞仏教センターTwitter親鸞仏教センターfacebook

親鸞仏教センター [真宗大谷派]<br>〒113-0034 東京都文京区湯島2-19-11
TEL 03-3814-4900 
FAX 03-3814-4901 
mail:shinran@higashihonganji.or.jp
 
掲載の記事・写真の無断転載を禁じます
Copyright©The Center for Shin Buddhist Studies. All rights reserved.
ホーム 親鸞仏教センター概要 講座のご案内 スタッフ紹介 バックナンバー一覧 リンク サイトマップ アクセス