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濁浪清風
 精神世界のことがブームなのだそうである。その背景をすこし考えてみたい。
 現在の情況の一つに、次のようなことがある。物質の性質やその研究・応用がかなり突き詰められて、入り口が違っているのに、ほとんど同じ対象が問題になるようになっている。たとえば、生物学や植物学と動物学・医学・薬学ということなら、数十年前までは全く異なる対象が問題になっていたであろう。ところが現在では、それらの先端の課題は、皆ミクロの遺伝子レベルのことが関心になってきているらしい。蛋白質の基本になる分子が解明されたのは、もう30年も以前である。そのつながりの構造の解明に、さまざまな学問分野が一斉にとりかかって、つい最近、とうとう人間の遺伝子の構造が、完全に解明されたというのである。
 一方、天文学や地球物理学の分野では、宇宙の始まりや現在までの時間というようなことが、ほぼ完全に解析されたとも言われている。
 そういうように、われわれを取り巻く自然界やわれわれ自身を構成し、成立させている時間・空間のあり様や物質的な構成が、判然と解明され、記述されているという。ところが、現に生活しているわれわれ自身は、生まれて生きて死んでいく有限な存在として、自分自身のことも自分を取り巻く自然界や人間社会のことも、よくわかっているわけではない。
 確かに、科学技術や工業製品のおかげで、生活の具体的な内容は便利になり、皆が平等に情報を共有できるようになり、世界中の出来事を居ながらにして知ることもできるようになった。けれども、その生活の具体的な事実の内実を少し掘り下げてみると、見聞きするものはオーディオ・ビジュアルの機材をとおしたものであり、味には化学調味料が添加され、香料も化学合成され、明るさは電灯により、空調も乗り物もというように、ほとんどあらゆるものが、人間の技術による変換を経たものであることがわかる。
 ふと生きている自己の内容について、これは実像なのか虚像なのかというような不安感にもよおされたとき、現代情況を生きるわれわれは、おそらく底なしのバーチャル・リアリティーの宇宙に漂っていることを感ずるであろう。そうしてみると、このごろの精神世界への好奇心とは、古代人の「神通力(じんづうりき)」への要求と重なるものがあるのではなかろうか、と感じられてくるのである。(2003年9月)
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