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濁浪清風
 現代日本において、日常的に身近なこととして盛んに取りざたされる問題のひとつに、「家庭の崩壊」ということがある。家族が寄り集う「いえ」のもっている本来の機能が、すっかり弱くなり、壊れてきているということである。
 家庭の崩壊の実際的な現象については、さまざまに喧伝されているから、ここでは触れない。その家庭崩壊という状況において、宗教的な伝達が被る困難な問題をすこし考えてみたいと思うのである。  日本の一般的な家庭には、伝承されてきた「家」の仏壇(真宗では「お内仏(ないぶつ)」という)があって、そこに先祖伝来の信仰の対象が集まっていた。その形は、ご本尊(ほんぞん)を中心にして祖先の法名(ほうみょう)を記した法名軸であったり、過去帳であったり、位牌であったりはするが、ともかく朝に夕にそこに額(ぬか)づき礼拝(らいはい)することが、生活の基本にしみこんだ信念の基礎であった。真宗の門徒は、そのときに「正信偈(しょうしんげ)」(親鸞聖人が漢詩で制作された信仰の歌)を読誦(どくじゅ)することが普通であった。
 「家の宗教」という言葉があるが、江戸時代に定着した宗門人別帳による固定化された寺檀関係によって、「家」はその所属する宗派の仏壇と勤行(ごんぎょう)の形式によって、動かしがたいもののように信じられてきた。地方の農村にはその生活の伝承とともに、その考え方を基礎とする因習がまだ根強く残っているかもしれない。しかし、近代社会になり、都市の生活者が激増してくるにつれ、その家の中心にあった仏壇やご本尊の意味が希薄になり、仏壇はその家族のなかに出た死者の霊魂の場所としてのみ祀(まつ)られるようになり、伝承された信仰の内実は一気に迫力を失っていった。
 お年寄りといっしょに生活するなかで、伝承された価値観が世代を超えて伝わってきたのであるが、都会で独立して生活する若い世代が新しい家庭をもち、経済中心のサラリーマンとしての多忙な生活になっていくにつれ、「家庭の宗教」というものが相対的に軽くなっていく。だから、その人たちの子どもの世代は、生まれたときから家庭の生活の中心に、先祖伝来のつながりを日常的に感覚する場所など何もないなかで成長する。
 いまになって急に家庭の崩壊ということが、さまざまな現象として表面に出てきたようだが、実はこういう都市化に重なった家庭の宗教的雰囲気の消失や、基礎的な宗教生活による日常的な人間教育が失われてきていたことが、その背景に大きな要因としてあるのではなかろうか。(2004年5月)
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