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濁浪清風
親鸞教学の現代的課題――――生まれ直しの思想(12)

  人間の一人ひとりの実存は、「独生独死独去独来」(『無量寿経』)と教えられているように、一回限りの独自の生存であり、近い因縁の人々に取り巻かれてはいても、苦境にぶつかるとき、結局は自分一人で自分の情況を引き受けなければならなくなる。そのとき、自分以外は他人であって、同情はしてくれても、人生を取り換えることはできない。それは親子や兄弟であってもどうしようもない。自己の深い実存情況の闇は、逃げ出すことのできない苦悩の繋縛(けばく)なのである。
  この闇を徹底的に明るくするまで共に歩み、どこまでも一緒に闇を生きようとする願心を、『無量寿経』は「法蔵菩薩」の名で語りかけている。この願心は決して他人ではなく、自己の根源にささやき続ける「横超(おうちょう)の菩提(ぼだい)心」なのだ、と親鸞は感得された。闇に苦しむ個我的個人の存在の根源に、この闇の繋縛を担い、どこまでも解放させようと歩み続ける大悲心があるのだ。個我からすれば、あたかも他人のごとくささやいてくるが、これは個我を根底から破って、「共発(ぐほつ)」する志(こころざし)なのだ。これを教主世尊は、『無量寿経』の法蔵菩薩の本願として説き出された。親鸞が『教行信証』「教巻」に「出世の本懐」として取り出された経文には、仏弟子阿難が釈尊の「光顔魏々(こうげんぎぎ)」たるお姿に驚いて、どうして今日はそのように輝いておられるのかと問いを出したとされている。根源からはたらく願心を説くことは困難至極であるが、それを説き出す見通しが立ったことを「光顔巍々」は象徴しているのであろう。
  法蔵願心が選択した報土は、「同一念仏無別道故(同一に念仏して、別の道無きが故に)」(『浄土論註』)と言われていて、大悲の願心の因果として、一切衆生が一如平等の境遇を受けとめることを願い続けていると言うのである。われわれの自覚できる意識より深層に、宿業(しゅくごう)を異にした衆生を平等に救い取りたいという大悲願心が、無始以来の迷妄の歴史とともに歩んでいると教えられるのである。この願が、『無量寿経』の教えとなって、無限なる「光明と寿命」を名の意味にもつ阿弥陀如来を信ぜよと呼びかけるのである。この願を信ずることは、この名を信ずることでもある。この名を思い起こす(念ずる)ときに、「平等の大道」として一切衆生の平等の存在の故郷を与えようと言うのである。
  欲生心(よくしょうしん)とは、この故郷からの勅命なのだ、と親鸞はいただいた。しかも、本願のお心に同心するなら、欲生心は成就するのだ、とされている。欲生心成就は「至心回向」を受けて、「願生彼国 即得往生 住不退転 唯除五逆誹謗正法(かの国に生まれんと願ずれば、すなわち往生を得、不退転に住せんと。唯五逆と誹謗正法[ひほうしょうぼう]とを除く」というお言葉になっていると言われるのである。
(2015年9月)

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