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濁浪清風
親鸞教学の現代的課題――――生まれ直しの思想(20)

  親鸞は、報土の因果と衆生がその因果に接するための因果(新羅の憬興〔きょうごう〕は「如来浄土の因果・衆生往生の因果」と言う)とを、結びつけるはたらきをも如来の大悲願心によることを明らかにされた。その如来の側からのはたらきを、「如来の回向」と名づけられた。如来の回向が成就することによって、衆生を大悲の願心のなかに摂する構造を明確にされたのである。
  その構造は、『大無量寿経』が説く本願の因果であることを、六巻の『教行信証』で明確に顕(あらわ)された。教は「本願を説く」ところの『大無量寿経』であり、行は『経』の体たる「名号」であり、信は本願より発起する信楽(しんぎょう)であり、証は願力回向によって「煩悩(ぼんのう)成就の凡夫」に開示せんとする「証大涅槃」であるというようなわけである。
  その「証巻」に標挙(ひょうこ)として提示されているのは、「必至滅度の願 難思議往生」である。建長七年、親鸞八十三歳の直筆が残る『三経往生文類』には、この「難思議往生」を「大経往生」とも呼んでいる。選択(せんじゃく)本願の因果によって、「生死罪濁(しょうじざいじょく)の群萌(ぐんもう)」に、流転の命をよこ(横)さまに超える道を開示して、煩悩の生活を痛みつつも、「獲信見敬大慶喜(信を獲れば見て敬い大きに慶喜せん)」と言いうる道を開いたのである。
  今生(こんじょう)の生活がいかに流転情況の困難に満ちていようとも、この人生を賜ったことの根底には、一切の群生(ぐんじょう)海に呼びかけ続ける大悲願心が地下水脈のごとく流れているのである。苦悩の深底に大悲摂取の願海がはたらいているのである。これを信受することができるなら、それが実は本願が成就するべくはたらいていたことを証明することになるのである。この信心は、願力回向の成就なのであり、徹底的に不実で罪濁の衆生からは起こりえない「信」なのであるが、それが不可思議の願力により、凡夫に発起すると言われるのである。この信心を天親菩薩が、『浄土論』で「一心」と宣言したのであり、その一心は「涅槃の真因」であり、本願成就の信なのだとされるのである。
  この信を「広大無碍の一心」(証巻)と言い、「為度群生彰一心(群生を度せんがために、一心を彰〈あらわ〉す)」(正信偈)とも言う。この信を獲ることができるなら「大慶喜」が起こるのだと言われる。「慶喜」とは「うべきことをえたり」と慶(よろこ)ぶのだと言う。人生の根本的な意味を見いだすことができたということだと言われるのである。これを宗教的な目覚めと呼ぶなら、この目覚めが生起するところに、新しい人生が生ずると言っても良いのであろう。これを信心において獲得する宗教的「生まれ直し」であると宣言するのが、親鸞聖人の「往生理解」であると言うべきなのではなかろうかといただくのである。 (2016年5月)

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