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ストーリー
Vol.175 紙芝居 親鸞仏教センター嘱託研究員 田村 晃徳

 大谷保育協会主催の研修会に講師として参加する機会を得た。新任の方々の研修会だったので参加者は緊張している様子だった。私は緊張もするが、後輩に出会うのが好きなので楽しみに参加したのである。
 「真宗保育とはどのような保育か」についての講義を行った。しかし、今回のメインはそこではない。研修のメインは「紙芝居」の制作である。
 紙芝居と聞くと、それぞれに思い出があるだろう。終戦直後だったら「黄金バット」を思い出す人もいるかもしれない。子どもたちは夢中になったらしい。しかし、それは決してモノがない時代だったから(それもあるだろうが)ではない。現代の子どもも、紙芝居は夢中で見る。つまり、子どもたちはおもしろいお話が好きなのだ。

 私が保育園に勤務して間もないころ、新しい読み聞かせをしたいと思い、その方法を考えていた。それも普通ではつまらない。登場人物たちが動いたり、さまざまな仕掛けがあったらどうだろうと考えた。それでは作品は何にするか。仏教保育らしさは大切にしたい。しかし、お説教ではなく、ストーリーがおもしろくなければ意味がない。その結果、選んだのが芥川龍之介の『蜘蛛の糸』である。
 お釈迦さまが極楽を歩き、カンダタが地獄で苦しみ、極楽から蜘蛛の糸が垂らされてくる・・そのようなシーンを仕掛けつきで構成していった紙芝居となった。幸いにも幼児から年配のご門徒の方まで、幅広い世代に受け入れてもらえた。制作から10年近くたった今では、地域の幼稚園で披露する機会もいただいている。この他、『杜子春(とししゅん)』や曇鸞(どんらん)、阿闍世(あじゃせ)の紙芝居も作ったが、どの紙芝居もじっと見て、聞いてくれている。

 新任研修会で披露した際にも参加者の方は喜んで見てくれた。研修会では「花まつり」「お盆」「成道会」「涅槃会」といった仏教行事を『真宗保育カリキュラム』をもとに作成していった。紙芝居を作る利点としては、そのもととなる文章をじっくりと読むことがあげられる。いわゆる在家の方である参加者には、楽しみながら仏教行事を知る機会となったら幸いだ。参加者からは「聞くだけではなく、参加できたのでよかった」「みんなと話し合い、紙芝居を作るなかで、友達になれた」という感想が聞かれた。この言葉を聞いて思い出した歌詞がある。
 「やさしさ紙芝居 そして誰もが主人公」・・。これはテレビドラマ『熱中時代』のテーマソングであった「やさしさ紙芝居」の一節だ。誰もが人生の主人公。見ているだけでなく、自分、そして仲間と作りあげてこそ人生はおもしろい。子どものときに聞いていた歌詞が、今、なぜか頭のなかで鳴り響く。

 精神科医のレインは「アイデンティティとは、自分が自分に語るストーリーである」というようなことを言っている。ならば、よりよき自分のために、よりよきストーリーを聞きたいと思う。お釈迦さまの人生は、そのようなストーリーに満ちているのである。

田村 晃徳(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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