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Vol.02  もしあなたが「仕事、好き?」と聞かれたとしたら、どのように答えるだろうか。  ある雑誌が「会社で仕事するの楽しいですか?」と題したアンケートを実施した。それによれば「楽しい」が28%、「楽しくない」が20%、「どちらともいえない」が49%だ(「AERA」2003.5.19)。ただ、「今の仕事を変えたいと思ったことがある」人は76%になることから、同誌では「仕事に対する不満はあるのだろうが、それがストレートには出てこない」と解説している。うなずく人も多いのでは。
 「仕事だから、仕方ない」と割り切るのは簡単だ。ただ割り切った瞬間、新たなやりきれなさを感じるのはなぜだろう。仕事(学生なら勉強)は、時間的には一日の大半を占めている。つまり、人生においても多くの時間を割いているわけだ。もちろん「仕事だけが生き甲斐」というのもさびしい。でも、目の前のことにやり甲斐を感じないのなら、人生に生き甲斐を感じることも難しい。
 大事なことは、仕事への問いが、もう一つの問いを包んでいることだ。「自分らしい仕事」といった類の雑誌広告をみるまでもなく、今の仕事が自分に向いているのかどうかを考えることは、自分は何をしたいのか、と自分自身への問いとなる。自分のしていることに意味はあるのだろうか。私は、今、どこに向かっているのだろう。この問いは、現代に生きる多くの人々をふっととらえる。そして、その問いは、去っていくこともあれば、そのまま離さないこともある。
 だが、実はそのような問いは、時代に関係なく、誰にでも、しかも、突然に起こり得るし、皆を不安にさせる。
 約800年前の時代に生きた親鸞にもそのような問いはあったのではないか。親鸞は9歳から29歳まで京都の比叡山で過ごした。比叡山を離れた理由は諸説あるのだが、日々の生活が繰り返されるなか、自分は何のためにここにいるのか、という問いが起こってきたことも十分考えられる。そして、その問いは親鸞から離れなかった。山を下りたことからも、親鸞の胸にはどうにもしがたい焦燥感があったに違いない。そして、親鸞は法然と出遇(あ)い、進むべき道を知る。
 仕事で不満や不安を抱えている人に、今すぐに宗教の教義を学べと言うのではない。それに宗教を学んだとしても、仕事が順調になるわけでもない。そうではなくて、仕事を通じて得た問い、つまり自分への問いを大切にあたためてみてはどうだろうか、と言っているのだ。
 親鸞も、比叡山を下りてすぐに法然の門下に入ったのではなかった。その間には、合計で約200日もの月日がかかっている。それは、親鸞が自分の問いを反芻(はんすう)していた日々なのだろう。その日々が親鸞には必要だったのだ。私たちの場合もそうだ。日常の生活から得た、小さく思えた問いが、実は人生を支える大きな問いとなるのかもしれない。

田村晃徳(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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