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keyword:生活
Vol.09  ここのところ、なんだか生活のテンポが早回しになってきたように感じている。しかも、このような感触を感じているのは、何も私一人ではないらしい。あまりにも「ファースト」、一辺倒になりつつある世界へのアンチテーゼとして、ここ何年か、「スロー・ライフ(ゆっくり生きる)」という生き方が提唱されている。
 例えば、世界中どこで食べても同じ味のファースト・フードで食事を済ますより、世界中で、その場所でしか食べられない地元の食材を使って料理を作り、それをゆっくり味わって食べてみる。そういった、ゆっくりとしたテンポで人生を楽しもうではないか、という主張である。
 しかし――、と、反論する声もあるだろう。忙しい毎日のなかで、とてもゆっくり食事をしている時間などない。「スロー・ライフ」などというのは、結局は、金と時間に余裕のある一部の特権階級のお遊びに過ぎないのではないか?
 だが、「スロー」というのは、ゆっくり食事をしてみるといったような、単に時間やスタイルだけの問題なのであろうか。
 考えてみれば、最近、早回しのテンポになっているのは、何も生活のスピードだけではない。思考のテンポまでもが、「ファースト」になっている。起こっていることに対して、即座に何か適当な答えを探し、見つかれば一目散にそれに飛びついてしまう。そして「答え」が見つかったことに安心し、そこで考えることをやめてしまう。「読書とは、他人にものを考えてもらうことである」と言ったのはショーペンハウエルだが、これはまさに思考を人任せにしていると言わざるを得ない。「スロー・ライフ」という考え方は、生活のスピードだけではなく、こうした思考のスピードの早回しに対するアンチテーゼとも言えよう。
 端的に言えば、「スロー・ライフ」とは、「スロー・シンキング(ゆっくり考えること)」だと言えるのではないだろうか。一足飛びに答えだけを求めるのではなく、まず自分でじっくりと考え、時間をかけて一歩ずつ思考を積みあげていく。それこそが本当に「スロー」な生き方であろう。
 即座に用意される、耳にここちよい「結論」というものは、往々にして中身がないばかりか、長い目で見れば間違っていることもあるものだ。ゆっくりでも、まず自分で考えてみることこそが必要なのである。 ………今、あなた、「よし、これからはスロー・シンキングだ!」とか思いませんでした? まずここから、「自分で」考えましょう。

常塚 聴(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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