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Vol.111 沖縄を訪れて思うこと 大谷一郎

 先日、私は真宗大谷派沖縄開教本部が主催する「非戦・平和沖縄研修会」に参加した。2泊3日の日程で普天間、嘉手納、辺野古など沖縄の基地関係の場所を巡り、また現地で基地の問題に向き合っている方々と対話するという研修会である。私は以前から沖縄の歴史や現状に興味があり、実際に現地の状況を自分の目で見て、今、沖縄が抱えている問題について考えてみたいと思いこの研修会に参加した。
 研修では、まずシュガーローフの丘を訪れた。ここは、沖縄戦時日本軍の首里防衛の西の要衝であり、地上戦で日米の兵士及び民間人を含めて数千人が亡くなった激戦地である。戦闘直後の写真を見ると見渡す限り何もない瓦礫(がれき)の丘だが、現在はすぐ横をモノレールが走り、近代的な街並みが広がる商業地になっていて当時の面影はない。しかし、南部戦線では鉄の暴風と言われ、一坪当たり200発もの銃弾が撃ち込まれたそうだ。今でも、土地を掘り返すと砲弾の破片や人骨が見つかるという。
 その後、普天間飛行場を見渡せる高台に移動した。住宅地のすぐ上空を戦闘機が爆音を轟かせながら離着陸し、しかもその基地に隣接して普天間第二小学校と幼稚園がある。私のような素人が見てもとても危険な状況であることがわかる。
 沖縄の歴史は苦難の歴史である。琉球王朝時代は朝貢(ちょうこう)関係のあった中国と薩摩による二重の支配を受け、その後、明治政府による琉球処分で沖縄県として日本国に組み込まれた。太平洋戦争では地上戦の戦場となり多くの民間人も犠牲となった。そして敗戦後はアメリカ軍統治が続き、ようやく日本に復帰したものの、本島の18%を占める面積を在日米軍基地として、負担している。考えてみるとずいぶん過酷な歴史を辿(たど)ってきた。実際に沖縄の現状に触れると、基地問題、格差問題等々、今の沖縄の問題は、沖縄が歩んできた歴史の延長線上にあり、複雑に絡み合っているのが実感できる。沖縄の状況を改善していくには、一つひとつの問題に真摯(しんし)に向き合い、丹念に解決策を探っていくしかないのかもしれない。
 今年は、沖縄が米軍の統治下から日本に復帰してからちょうど40年目にあたる。その節目となった今年の1月1日付の『琉球新報』に沖縄県民の意識調査の結果が出ていた。「日本における沖縄の立場(状況)についてどう考えますか」という問いに対して、「独立すべきだ」と回答した人が県の北部では10.1%にものぼっている。琉球の人々が大国の狭間(はざま)で翻弄(ほんろう)させられた歴史を考えれば、自らの民族に対する意識が高いということはある意味当然のことかもしれない。しかし、関東圏を離れて暮らしたこともなく、日常の生活で国家や民族を特に意識することなく生きてきた私にとって、このことはある意味で驚きだった。
 さらに言えば、このことは自分がどこに立っているのか、という問いと受け止めることもできる。物理的なことだけではなく、精神的な面、つまり私自身が本当に拠り所としているものは何なのかということである。南無阿弥陀仏に生きようとしているにもかかわらず、なかなかそこに生き切れない悶々とした思いは、阿弥陀に南無することによりおのずと明らかになるはずの自分の立脚地が定まらないことの証(あかし)ではないか。

大谷 一郎(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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