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Vol.116 情報のなかにあって 法隆誠幸

 日常、私たちは実に多くの情報のなかにある。しかし、最近思うことはそういう情報と私たちがどのように接しているのかということだ。
 例えば、ここ親鸞仏教センターでは新聞各紙を購読している。そのため、各紙の紙面を比較して読むということができるのだが、同じ事柄についての報道であっても、A紙は一面トップ記事として伝え、B紙は同じ一面であってもトップではないということはしばしばである。A紙で取り上げられた記事が、B紙では取り上げられていないということも多々ある。そもそも、各紙にはそれぞれの論調というものがあるようだ。最近のわかりやすいことで言えば、“脱”あるいは“卒”原発という大きな論調のなかで書かれている新聞と、“脱”あるいは“卒”原発というのであれば、そこに至る具体的道筋を示せという、そういう甚だ現実的な論調のものもある。文化面、経済面などにも、やはり各紙それぞれの色が感じられることがある。そのような論調が生まれてくる背景には各媒体の社風、あるいは繋(つな)がりの深い機関・組織団体への配慮ということもあるのだろう。
 むしろ、それは当然と思う方もいるだろう。新聞にかかわらず、メディア全体が社会・経済活動に組み込まれているのだから、公器といえども偏りはあると見るのがもしかしたら正当なのかもしれない。しかし、複数紙読むことは一般的ではないだろう。では、それを見抜く冷静さと眼を私たちが持ち合わせているかと言えば決してそうではない。
 情報に触れたとき、私たちのなかにはさまざまな反応が起こる。知る情報によって私たちは怒ったり、嘆いたり、不安にもなる。「財政破たん」というワードを目にすれば、ギリシャのことが頭に浮かび、何となく増税やむなしという気にもなる。しかし、なぜそれほどまでに借金を重ねなければならなかったのか、その責任の所在を問う声は湧き上がりもしない。その一方で、例えば、土地購入に関する資金問題で取りざたされた政治家がいるが、ほとんどの人は彼に会ったこともないし、話したこともない。要するに、よく知らない人である。けれども、いつの間にか彼に対するある種の社会的イメージが生まれ、結果、「世論」ということから法廷に立たされることとなった。この場合、提供された情報を知ることによって人々の間に怒りが醸成され、情緒的に社会が動いたようにも思える。しかし、素朴な疑問として、彼から直接被害や不利益をこうむったという人はどのくらいいるのだろう。情報を発信する側、受け取る側にかかわらず、自己都合で物事をとらえ、また自身を絶対的立場に置いてしまうということが、少なからず人間にはあるように思うのだ。
 そもそも、私という一人の人間が生活することにどれほどの情報が必要なのだろうか。日々流れている情報は、誰が欲した情報なのだろう。暇つぶし、興味本位で消費する情報の何と多いことだろう。そして、提供された情報に右往左往しているのが現実である。しかし、半ばうんざりしながらも井戸端会議に始まり、人は情報が好きだ。世間虚仮(せけんこけ)とは、先達はよくも言ったものである。

法隆 誠幸(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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