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Vol.12  テレビは一家に一台だった。私が子どもの頃は、少なくとも私の知る範囲ではどの家庭でも、テレビは一家に一台で、チャンネル権は、親がもっていた。自分が観たい番組は、どれとどれかを親に申し出て、観ることが許されていた。しかし時として兄弟でチャンネルを争ってけんかをし、チャンネルを変えさせないために、まだリモコンでないチャンネル操作器をテレビからはずして逃げ回った記憶もある。子どもの頃のテレビをめぐっての思い出は、同時に家庭の思い出であり、家族という人間関係の記憶である。
 しかし今やテレビは、一部屋に一台、子ども部屋はもちろん、風呂にまでテレビを設置している家もある。チャンネル争いはなくなり、それぞれがテレビといっしょに時間を過ごしている。ほとんどの家が食事中もテレビをつけ、一日の視聴時間は増え続けている。テレビの影響力は膨大になり、ライフスタイルそのものを左右する存在になった。いつのまにか、テレビが家のあるじになってしまったのである。テレビ番組からもたらされる情報は私たちの欲望を刺激し続け、その欲望を満たすためにはたらく。幸せな生活=最新の電化製品・おしゃれな家具・流行の服という情報がインプットされ、ひたすらそれを追い求めることを余儀なくされている。
 近年、子どもの虐待やドメスティックバイオレンスなど、家庭崩壊が問題になっているが、それは決して個人だけを大事にして、家族の幸せを求めなくなったことによって起こってきたのではないように思う。少子化の現代にあっては、子ども一人に費やされる時間はかつてよりはるかに増え、濃密な愛情が注がれている。家庭を顧みない会社人間も減り、夫婦関係を大事にしたいという人も増えているというアンケート報告もある。むしろ現代は、歴史上、最も家族の愛情が注目されている時代なのではないだろうか。
 では、どこに問題があるのか。私は、テレビが情報としてもたらす家族愛、定義する家庭の理想的基準がいつのまにかインプットされながら、現実の生活は容易に合わせられないということが、逆に問題を作りだしているからではないかと感じる。それほどまでにテレビの呪縛は強い。
 私たちの生活は、テレビのなかにあるのではない。先に生まれた者と後に生きる者ととが家族という人間関係のなかで、生きていくことの意味をたずねながら生活を通して繋いでいくところに真の家庭は生まれるのではないかと思っている。

藤原正寿(親鸞仏教センター研究員)

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