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Vol.128 沖縄の問題に思うこと 大谷 一郎(親鸞仏教センター 嘱託研究員)

 先日、電車に乗っていた時のこと、座っている私の前に高校生と思(おぼ)しき男子二人組が途中の駅から乗ってきた。聞くつもりはないのだが、自然と聞こえてくる二人の話は、来春に受験する大学のことだった。その中で、一人が「沖縄の大学はどう?」と言うと、もう一人が声を潜(ひそ)め、「沖縄って、なんか日本じゃない感じがするんだよな」と言ったのである。私はその一言がずっと頭から離れなかった。

 沖縄の歴史は過酷なものがある。江戸時代は薩摩藩の力による支配を受け、明治維新の琉球処分で琉球王国は消滅し、日本国となった。その後の太平洋戦争では、ご承知のとおり、地上戦の舞台となり9万4千人もの非戦闘員、つまり一般の人々が死んだ。そして戦後は、どう見ても平等とは言えない基地負担を押し付けられ、現在に至っている。普天間飛行場の辺野古への移設について、この原稿を書いている12月5日の段階では、沖縄県選出の自民党議員が賛成に転じ、12月下旬の沖縄県知事の判断が焦点となっている。この原稿がホームページに載る時点で状況がどうなっているかはわからないが、全体としては、移設容認という流れができつつあるように思う。実に沖縄県民の7割が反対(沖縄タイムス12/5)しているのに現実はそういう流れになっているのだ。

 作家の池澤夏樹さんの著書『始まりと終わり』(朝日新聞出版)の「沖縄、根拠なき負担」というコラムにこんな言葉がある。「日本人の大半は沖縄人を別種の人間と見なしている。・・・このカテゴリーの人たちは同じ日本国民でも一段下だからこれくらいの負担は当然、という思い込みが一都一道二府四十二県の側にある。その現物が普天間でありオスプレイなのだ。」と。沖縄以外の日本人の意識の奥底にある差別認識がこの問題の根本にあるというのだ。冒頭の高校生の会話が頭から離れなかった私は、この池澤さんの言葉が、ストンと自分のなかに落ちる気がした。

 差別というのは、基本的に他のものを見下し、自分の相対的地位を高め、安心したいという気持ちから出てくるのだろう。それは、いじめにも共通する意識だ。差別はだめだと言いながら何かしら差別しなければ生きていけない人間の弱さということなのかもしれない。

 沖縄をめぐる問題はそう簡単ではない。しかし、私自身も含め、一人ひとりが自らの根底にある弱さ、差別意識というものに光を当て、考え抜くところにしかこの問題を解決する糸口はないのではないかと思う。

親鸞仏教センター嘱託研究員 大谷 一郎

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