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Vol.139 恐竜に羽毛 親鸞仏教センター研究員 藤原 智

 子どものころは怪獣や恐竜が好きで、ゴジラ映画などは毎年ワクワクしながら見に行っていたものである。怪獣は創作だとしても、恐竜は実際、数億年前(気の遠くなる話だ)の地球に生息していて、しかし6500万年前すべてが絶滅したと聞かされては、自分は将来、考古学者になってそのミステリアスな古代の生物たちについて解明していくんだ、などとの思いに耽(ふけ)っていたものである。
 ともあれ、現在でも古生物に関するニュースなどを目にすると、思わず見入ってしまうのは変わらない。もちろん、恐竜の代表と言えばティラノサウルスである。その想像図は、昔はゴジラのような直立二足歩行だったのが、やがて映画『ジュラシックパーク』のように背筋が地面と平行する立ち方になった。この辺りが私の子どものころである。それが近年は、どうも恐竜は鳥の祖先だということになってきた。小さい恐竜だけでなく、ティラノサウルスにも羽毛が生えていたとの学説が出てきて、一説には大きいニワトリのような想像図さえ見かけるようになった。確かに、ダチョウに牙が生えていたら恐竜だと言われたらそうなのであるが、「なんだ、ティラノサウルスは大きいニワトリだったのか」と思うと(それはそれで興味深いのであるが)、少しがっくりさせられる。これについては今後の研究の発展を期待するのみか。
 研究の進展につれ、これまで常識とされていたことがまったくひっくり返されてしまうということはよくあることである。むしろ、それこそ研究者の本懐かもしれない(そのための不正などあってはならないが)。しかし素人目には、自分がかつて学び何十年も正しいと信じてきたことが突然間違いだと突き付けられるわけで、ただただ戸惑うしかなかったりする。専門家が真摯な態度で十分に検証し、現時点では正しいと承認される事柄であるならば、それは尊重されるべきであろう。もちろん、専門家の学説がすべて正しいわけでもなく、それを信じきってしまうのは不健全な態度であろうし、その学説への疑問から新たな研究者・思想家も生まれてくることになる。疑問こそ真理の現れである。
 しかし、自分にとってずいぶん思い入れのある事柄になると、それが正しいと思っていても、それを認めると自分のこれまでが否定されるような気がして、見まい聞くまいという内向きの態度を思わずとってしまう。それが古今東西どこにでもあることは「それでも地球は動いている」という言葉が共感をもって伝えられてきた事実のうえに明らかであるが(ガリレオが本当にそう言ったかどうかは知らない)、それでも真理の力を信じず自分のちっぽけな思いに縋(すが)るほど人間は強情で弱い。
 つまりは、どこまでも自戒を込めて、安心して疑いと批判のなかに身を曝(さら)け出していくのが、われわれの取るべき態度であろうかと思う。

藤原 智(親鸞仏教センター研究員)

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