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親鸞、出会い
Vol.145 親鸞との出会い 親鸞仏教センター嘱託研究員 大澤絢子
 大学では新年度が始まり、親鸞との一年がまた始まった。
 ちょうど大学院に入る年のある日、ふと立ち寄った東京・雑司ヶ谷の古書店で偶然手に取ったのが、赤松俊秀著『親鸞』(吉川弘文館、1961年)。親鸞七百回御遠忌の年に、歴史学の視点から親鸞の実像に迫った本である。パラパラと読んでいくと、ああでもない、こうでもない、きっとこうだ、と史実としての親鸞をめぐる赤松氏の熱い論説が展開されている。もちろん、今では訂正されつつある点も多いが、従来の学説を検証し、補完し、新たな説を打ち立てんとする緻密(ちみつ)で勢いのある書である。それまで社会学をかじっていた私は、そこで繰り広げられている議論も用語も、固有名詞ですらほとんど知らなかったが、なぜだかどうしてもこの本が気になり買い求めた。

 そしてこれはそれまで、親鸞という人物像はある程度確定しているものだと思い込んでいた私にとって衝撃的な一冊となった。そこで初めて、私の知っていた「あの有名な親鸞」とは、実はわからないことだらけであることを知り、それと同時に、それでも親鸞が「あの親鸞」として知られていることに疑問をもった。「当たり前」を疑う社会学が、親鸞に出会った瞬間でもあったと思う。
 そしてこれが、私が親鸞を研究するきっかけとなり、私の人生の大きな転換点ともなった。いつの間にか、「親鸞」の名を口にすることが多くなり、研究を通して出会った人のほうがそれまで出会ってきた人よりも多くなり、ご縁をいただき、今ではこうして日夜、親鸞についての研究をさせていただいている。真宗はもちろん、仏教ともほとんどかかわりのなかったあの日の私からすれば、まさに驚くべき日常である。

 歴史上の親鸞はいる。その一方で、多くの人々に語られ、描かれ、求められてきた親鸞がいる。私はそちらのほうの親鸞と日々向き合っている。  思えば、お寺の出身でもなく、真宗門徒でもなく、真宗や宗教学を専攻していたわけでもなかった私が親鸞という名を知っていたのも、そもそも京都から遠く離れた東京の地でこの『親鸞』と出会ったのも、親鸞を語りたい、伝えたいという数えきれないほどの人々が、親鸞を思い描いてきた長い歴史があるからだ。その蓄積があるから、わからないことだらけの親鸞は、こうしてちゃんと知られているのである。

 なぜ、私たちは親鸞を知っているのか、その親鸞とは誰か、どこから来て、どこへ行くのか。人々の語ってきた親鸞を追い、その親鸞像の旅を辿(たど)ることが、現在の私の研究である。
   『親鸞』に出会ったあの日から、親鸞に引っ張られてここまで来ることができた気がする。今年もまた、親鸞を追い求め、親鸞に引き寄せられる一年が始まった。

大澤 絢子(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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