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親鸞、報恩講、出会い、感謝
Vol.152 寒くない報恩講 親鸞仏教センター嘱託研究員 大澤絢子
 報恩講とは、宗祖親鸞の祥月命日に勤められる法要である。真宗門徒にとって最も重要な年中行事で、真宗大谷派・真宗本廟(東本願寺)では、毎年11月21日から28日まで勤められる。「報恩講」という名称は、本願寺第三世・覚如が親鸞の三十三回忌に際して著した『報恩講私記』(『式文(しきもん)』)に由来し、親鸞の恩徳に報謝し、その教えを聞信する大切な期間である。

 というのが、「報恩講の説明」になると思うのだが、せっかくなのでここでは、人生初の本山・東本願寺での報恩講で私が感じたことを書かせてもらう。

 たまたまの巡り合わせで親鸞と出会い、東京で親鸞の研究に取り組むことになった私にとって、京都の親鸞はいつもどこか新鮮だ。
 晨朝(じんじょう)法要へ向かう途中に見上げた御影堂門の向うには、きりりと冷たい空に有明の月が輝いていた。いよいよだ、という気がしてくる。その日の夜は、『御伝鈔』の拝読。ろうそくの炎が闇に浮かんだ後、「それ、聖人(しょうにん)の俗姓(ぞくしょう)は藤原氏(ふじわらうじ)…」(『聖典』724頁)から始まる文章が粛々と読み上げられていくという。報恩講のなかでも特に心待ちにしていた時間である。
 御影堂でそのときを待っていた私は、文字どおり親鸞のお膝元で、『御伝鈔』を捲(めく)り、その人生に思いをはせてみた。比叡山で修行に励み、ついに法然と出遇い、六角堂に籠(こも)った親鸞---とそこで、隣に座ったおじいさんからいきなり、「寒くないかい?」と一言。毎年富山から来ているというその人は、「寒くないブランケットの敷き方」というお参りのコツを教えてくれ、本山の報恩講が初めてだと言う私にあれこれ解説をしてくれた。そして『御伝鈔』の最後の段まで、肩を並べて親鸞の生涯をたどっていった。
 親鸞の入滅場面を語る「洛陽遷化」段には、以下のようにある。

終焉(しゅうえん)にあう門弟、勧化(かんけ)をうけし老若(ろうにゃく)、おのおの在世のいにしえをおもい、滅後(めつご)のいまを悲(かなし)みて、恋慕涕泣(れんぼていきゅう)せずということなし。  (『聖典』736頁)
 皆が親鸞の死を嘆き、在りし日を思って慕い泣いたという。あの親鸞が死んでしまったのだから当然、ものすごく悲しかっただろう。だが『御伝鈔』は、それで終わらない。

其(そ)の禀教(ほんぎょう)を重くして、彼の報謝を抽(ぬきん)ずる輩(ともがら)、緇素(しそ)・老少(ろうしょう)、面々(めんめん)あゆみを運びて、年々廟堂(びょうどう)に詣(けい)す。  (『聖典』737頁)
 その教えを受けた喜びと親鸞への謝意を込めて、僧俗、老若、その他大勢の人々が親鸞の廟へ詣でたと言うのである。なるほどこういうことかと、堂内を見渡して思った。親鸞の教えに出遇い、親鸞を慕い、親鸞を縁とした多くの人が、身を寄せ合うようにして座っている。親鸞がいなければ、こんな光景はなかったはずだ。
 法要が終わり、ブランケットのおじいさんは、「ご縁がありましたら、また」と言ってさっと立ち去って行った。ついお名前を聞きそびれてしまったが、きっとまた会えそうな気がした。

 ありがとう、親鸞。そんな思いがふと湧いて出た。

大澤 絢子(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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