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Vol.16  昨年(2003年)1年間の全国の自殺者は、過去最多の34,427人で、6年連続で3万人を超えた(7月22日、警察庁まとめ)。特に、長引く不況を反映して、働き盛りの40〜50歳代を中心に、失業や負債などの「経済・生活問題」が動機とみられる自殺が、大幅に増加した。また、少年の自殺も、「学業不振」や「入試苦」などを理由に増加に転じた。
 近年の日本は、苛烈な競争社会を迎えている。その結果、戦後の経済的な繁栄のなかで「一億総中流」とうたわれた、かつての中産階級は消え、いわゆる「勝ち組」「負け組」といった二極分化がますます激しくなっている。子どもから大人までが、自分の価値や優劣を社会によって決めつけられるという状況にさらされながら、生きていかざるを得ない。そんななかで、少し立ち止まって、自分の価値を見つめ直す、あるいは自分の存在がまるごと肯定されるような安心感を見いだすことは、非常に困難になりつつある。自ら命を絶たなければならないという惨事の根っこには、このような実情があるのではないだろうか。
 ところで、大リーグで活躍しているあのイチロー選手が、日米通算2000本安打を達成したときのインタビューで、次のように語っていた。

  自分の能力の限界を尽くして1000本打った人と、能力の半分も出さずに
  2000本達成した人がいたら、前者の方が人間としてすばらしい、と。

いかにもイチロー選手らしい発言であるが、実はこれは仏教の教えに通じる至言である。
 人は、いつも他人や過去の自分、あるいは理想の自分と比べていまの自分を位置づけ、失望したり有頂天(うちょうてん)になったりする。しかし、自分の価値は他人や世間のモノサシで測れるものだろうか。人の尊さは、他人との比較で決まるのではなくて、自分に与えられた力を十全に発揮することにかかっているのである。このように自分自身を受けとめるとき、はじめて人生の責任を担っていくことができる。いまを生き抜く力は、自(おの)ずとそこから涌(わ)き出してくるのであろう。

伊東恵深(親鸞仏教センター研究員)

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