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Vol.22  ここ数年、東京の下町が大きく変わりつつあります。いままで以上に大型店舗が続々と進出し、非常に便利になったのですが、そのために小売の商店が次々と閉店し、まるで町が消えていくような様相を呈しています。私の近所でも、以前商店街としてにぎわっていたところが、ほとんど住宅地に変貌しているところがあります。
 私の親しい魚屋さんのご主人が、こんな話をしてくれました。「昔ながらのお客さんは、魚をしっかり見極めて買っていくよ。もちろんきちんと魚をさばくこともできるしね。だから、こっちもお客さんが何を求めているか敏感に察知するし、入荷した魚の話をお客さんともいろいろする。魚をめぐっての話をするところにお客さんとのつながりがあったし、そこに人情が感じられた。でも、そういう人たちが少なくなってしまったから、そろそろ店を閉めるしかないね。いまの人たちは、手間暇かけたくないから、便利なでっかい店に行って、パックに入った食べやすい切り身の魚を安直に買う。なんか寂しいねえ」と。
 さりげない話のなかに、現代の問題がするどく捉えられていました。以前は、買い物一つにも親しみの深い人と人とのつながりがあり、プロセスがあったのです。ところが、いまはどうでしょうか? パックに入った魚を買うということは、魚の形すら知らない人もいるのではないでしょうか。魚をいのちとして見ることがなくなってしまい、単に食べるためのモノと化してしまった、人間の悲しい現実がここに露呈されています。
 いま、いのちが見えなくなった状況があるように感じられます。お客さんの顔を見て、魚屋さんが何を求めているか察知して声をかけるという、人情味ある光景を見ることもほとんどなくなりました。これは、人間同士の会話がなくなりつつあるひとつの象徴的出来事といえるでしょう。無駄を一切省いて合理的に買い求めることだけが残り、さまざまなつながりやプロセスが一切なくなってしまったのです。
 便利さをけっして否定しているのではありません。しかし、便利さ・合理性を無批判的に受け入れていくことの危うさを、私たちはどこかで気づいていなければならないのではないでしょうか。
 東京のように過密化している大都会に、人間が見当たらなくなってきたのはなぜでしょう。それはほとんど関係性が切れてしまったからではないでしょうか。「世の中が 便利になって 一番困っているのが 実は 人間なのです」という浅田正作さんの言葉は、現代人の姿を如実に言い当てています。スピードの速い時代のなかにあって、本当にこのまま流されていいのか、ちょっと立ち止まって考えてみる時期に来ているのではないでしょうか。

本多雅人(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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