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Vol.24  住み慣れた京都を離れ、東京に移り住んで、この4月で丸1年が過ぎた。生活を始めた当初は、溢れんばかりの人の多さや、林立する超高層のビル群など、環境のあまりの違いに戸惑うことも少なくなかったが、ようやく慣れてきた感がある。最近では、京都を訪れる機会があっても、東京の雑踏が逆に恋しく感じられたりするから、人は環境を生きているのだということにあらためて気づかされる。
 さてそのような時、いまから10年以上も前の、ある会話が思い出された。それは、インドの仏跡(釈尊ゆかりの地)を巡拝するツアー旅行でのことであった。高校生の私は、初めての海外、しかも、日本とは異質の空間であるインドということもあって、「日本の喧騒を離れて、このようにゆったりと時間が流れているところで暮らせたら、どんなに幸せだろう」という感想をふと漏らした。すると、それを聞いた日本人の添乗員が次のように言ったのである。

その土地のことを本当に知ろうと思ったら、最低でも1年は住んでみないとね。四季を経験して初めて、そこに暮らす人々の実際の姿が見えてくるものだよ。


 いま思えば、至極当然のことを言われただけなのだが、私にとってその言葉はとても新鮮に聞こえた。たかが2週間程度で、すべてを知った気になった軽薄な自分を恥ずかしく思った。いま、その一場面が、ふと思い起こされたのである。
 「東京は苦悩の坩堝である」と言われる。はたして、東京で生活する人々の悩みや痛みが身に沁みてわかったかと問われると、はなはだ心もとない。東京は現代文明の最先端であると同時に、時代の闇が先鋭的に噴出していると言われるが、闇と言われるものをかかえた問題の本質を見抜くことは甚だ困難である。しかし、すべてが人間の営みと関係している事柄である以上、日常の些細な出来事のなかにも、実は人間存在に深く関わる問題が潜んでいるのではないか。そうであるなら、けっして大上段に構えるのではなく、かといって、日々の生活に埋没するのでもなく、日常のちょっとした変化に、人々の息づかいを感じ取っていくことこそが大切だと思う。

伊東恵深(親鸞仏教センター研究員)

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