親鸞仏教センター
お問い合わせ
 
「現代を生きる人々」と対話するために
HOME親鸞仏教センター概要アクセスサイトマップ
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内ブックレビュー
 HOME > 今との出会い
 
keyword:ニート
Vol.25 「生きようとする意欲」 中津功  いま、「ニート」の問題が切実である。ニートとは、学校に通っていない、働こうとしていない、仕事につくための訓練も受けていない若者のことで、“Not in education, Employment, or Training”の頭文字(NEET)をとった英国生まれの造語である。15歳から34歳までの「若年無業者」といわれ、2002年度には85万人に及んでいるという。『ニート』の著者(曲沼美恵氏との共著、幻冬舎)でもある玄田有史氏(東大助教授・労働経済学)は、この書を著す過程でニートに出会うなか、「働くことを軽視した表情でもなければ、無色の現状に気楽に甘んじている態度でも決してなかった」と、その素顔に触れて、「だから、私たちはニートを〈働く意欲のない若者〉とせず〈働くことに希望を失った若者〉と書いた。〈働かない若者〉ではなく〈働けない若者〉と表した」と言われている。この一言にも、「無気力と非難し、〈働け〉と説教するだけでは、何も変わらない」、ニートの抱えている問題の一面を知らされる。
 ニートの増加は、「21世紀になって突如現れ始めた現実」といわれ、その背景として、労働市場問題、教育問題、家庭問題などさまざまな要因があげられているが、玄田氏は、「誰がなってもおかしくない」、この「ニートに共通して見られるのは人間関係に疲れてしまっていること」であると指摘している。
 「人間関係に疲れてしまっている」ということは、どういうことだろうか。これほど、文明の利器や情報があふれ、人があふれていても、ほんとうに人に遇(あ)えず、自分自身になかなか出遇えないということであろうか。確かに人間関係に疲れるとき、閉塞的になり、生きる意欲を失うことすらある。しかし、人間の環境や諸情況に揺さぶられる身のままで、人間存在の内奥に、ほんとうに生きなければ死ぬに死ねないという、深い志願のきざしていることも否(いな)めない事実である。どんな情況のなかでも、“決して自分自身を見捨ててはならない”と、この身に深い願いがかけられているのである。  事業に失敗して、自殺するしかないとさまよっていた人が、“路上生活者の「地球に寝てる」という言葉に出会い、死を思いとどまった”という記事を、以前読んだ。閉ざされていた現実から、生きた言葉に出会うことをとおして、裸一貫の身が、すでに量(はか)りしれないいのちに育まれ、支えられている大地に眼(まなこ)開かれたのである。
 あらゆる人間存在を、丸ごと受け止めて育む本願の大地に目覚(めざ)めるとき、「生死(しょうじ)に処して疲厭(ひえん)なけん」(『華厳(けごん)経』、『教行信証』「信巻」に引用)と釈尊の説かれた生活が始まるのである。

中津 功(親鸞仏教センター嘱託研究員)

最近の『今との出会い』一覧
Backnember ページトップへ
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内バックナンバー一覧
親鸞仏教センター
MAP
親鸞仏教センターfacebook

親鸞仏教センター [真宗大谷派]<br>〒113-0034 東京都文京区湯島2-19-11
TEL 03-3814-4900 
FAX 03-3814-4901 
mail:shinran@higashihonganji.or.jp
 
掲載の記事・写真の無断転載を禁じます
Copyright©The Center for Shin Buddhist Studies. All rights reserved.
ホーム 親鸞仏教センター概要 講座のご案内 スタッフ紹介 バックナンバー一覧 リンク サイトマップ アクセス