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keyword:想像力
Vol.26:「退屈」のススメ 常塚聴  私には昔から、何かをする前には必ず何冊か「持っていく本」を本棚からみつくろっていくという癖がある。別に読まなければならない本があるからではない。結局のところ、私は、何かと何かの間に、ほんのわずか出現する「空白の時間」「何もすることのない時間」をおそれ、それを活字で埋めようとしているわけである。私は本好き、あるいは活字中毒症というよりは、いってみれば「退屈恐怖症患者」だったわけである。
 考えてみれば、現代という時代そのものもまた、一種の退屈恐怖症にかかっているといえないであろうか。テレビを見れば、10秒、5秒という間隔で絶え間なく情報が飛び込んでくる。必要かどうか、緊急であるかどうかにかかわらずである。ラジオでしばらく何も音のしない時間が続けば、もうそれは「事故」である。今では、「何もない時間」というのは、意味のない情報よりも価値がないものであるようだ。
 ところで、最近読んだ本に興味深いことが書かれていた。子どもには「親の目の届かない時間」「何もすることがない時間」が必要なのではないか、というのである。例えば、子どもに絵を描くことを教えようとするならば、どこに何を描き、何色を塗ればいいかあらかじめ決められている塗り絵を与え、大人がそばにいてこまごまと指導してやるよりは、ただの白い紙を一枚渡して、あとは子どもにすっかりまかせてしまうほうが、子どもは自分で考えながら自由に想像力を働かせ、たとえ技術的には未熟であり、進歩の具合いは遅々としたものであっても、結局は豊かな自分なりの世界を自分でつくっていくという。
 時間に追われるなかで、人はしばしば想像力を失い、「自分の頭で考える」ということを忘れがちになってしまう。お絵かきをしたい子どもに必要なのは、何も描かれていないから自由に何でも描くことができる一枚の白い紙と、何もすることがないから何でもできる自由な時間である。想像力という人間の大きな力を十分に働かせるためには、時には「空白の時間」に直面して思い切り退屈してみる、ということも必要なのではないだろうか。

常塚 聴(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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