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Vol.35:泥に咲く華  伊東 恵深  昨冬から猛威を振るったインフルエンザも、春が近づくにつれて次第に沈静化し、いまでは、スギ花粉の毎日の飛散量が、多くの人々の関心事となっているようです。
 ところで今年(2006年)の1月、東京大学と国立感染症研究所の研究者らによって、「都市部で新型インフルエンザが発生した場合、満員電車での通勤・通学が感染の拡大を加速させ、患者数も増加させる」という調査結果が発表されました(1月11日、読売新聞ほか)。その記事によると、新型インフルエンザの拡大について満員電車の影響を調べたのは初めてだそうです。
 しかしこの研究報告は、たんに電車の早期運行停止がインフルエンザの感染者数を減らす効果があることを提示しているだけでなく、都会に住む人々がいかに過酷で劣悪な生活環境を強いられているかを示唆しているのではないでしょうか。ひとたびラッシュ時の電車に乗れば、ほとんど身動きできない「すし詰め」の状態を長時間にわたって余儀なくされる。これは世界でも他に例がないでしょう。そのような超満員の電車を眺(なが)めていると、人ではなくてまるでモノがどこかに運ばれているかのような錯覚さえ覚えてしまいます。ここに都市生活の不自然なありさまが端的に表れていると思います。
 仏典に「譬(たと)えば高原の陸地には蓮華を生ぜず。卑湿(ひしつ)の淤泥(おでい)にすなわちこの華を生ずるがごとし」(『維摩経(ゆいまきょう)』)という言葉があります。高原の乾いた陸地はさわやかですが、蓮の華が生じることはありません。蓮華は泥に根を下(おろ)して美しく咲き、しかも泥水のなかにあってその汚れに染(そ)まることがないのです。この蓮華の譬喩(ひゆ)は、現代を生きる私たちに、苦悩と矛盾に満ちた社会のなかにありながらも、その世間の汚れに染まることなく、自分自身を深く見つめていくことの大切さを教えているのではないでしょうか。
 ともすると、世間という汚れた泥水に染まりやすい私たちですが、泥中に咲く真っ白で可憐な蓮の華のように、悩みや苦しみが渦巻く実生活のただなかにあっても、自分自身を見失うことなく真っ直ぐに歩んでいきたいと思います。

伊東恵深(親鸞仏教センター研究員)

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