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Vol.39:主体的に生きよう  本多 雅人  先日、中学3年生になる次女が修学旅行で京都に行きました。娘から聞いてびっくりしたのは、集合場所が東京駅だったのです。私の育った感覚から言えば、地元の駅で集合して東京駅に向かいます。
 ラッシュ時間帯であり、東京駅まで乗り換えもあって35分ほどかかりますから、中学3年生といえども、迷って遅れる生徒も出るはずです。理由はどこにあるかといえば、その一つとして、いまの区立中学校に通学する生徒の居住地がさまざまで、地元の駅に集合して行くとかえって時間のロスになる生徒が多いということらしいのです。
 以前、区立中学校は学区によって分けられていましたが、いまは自由に学区外の生徒も希望の中学校へ入ることができます。「自由」というと聞こえはいいのですが、ここに大きな落とし穴があるのです。義務教育の中学校でありながら、いわゆる、できの良い中学校とできの悪い中学校に分けられていくように思われます。それも根拠がないのです。「何でわざわざA中学校に行くの?」と聞くと、「B中学校はバカだから」といった会話が情報として広まっていくところで、どうも学校の評価が作られているようです。しかし、その背景には新たな競争原理を作り出そうという教育の動きがあり、その雰囲気に乗せられている親たちがいるという捉(とら)え方もできます。はっきり言えば、根も葉もない情報に振り回されていると言っても過言ではないでしょう。
 情報に振り回されるとどうなるでしょうか。古代ギリシアの都市国家アテネでは、民主政治が実現していたことは有名ですが、その民主政治が崩れて衆愚政治に陥った理由は、デマゴーグ(扇動政治家)がはびこったからだと言われています。嘘の情報をさも本当のように流して、民衆を扇動していった結果、民主政治はもろくも崩れ去ったのです。この歴史的教訓を私たちは学ばなければならないと思います。
 現代は情報化の時代です。古代ギリシアとは比べものにならないほど、情報が氾濫し、私たちは何を信じていいのか、わからない状況におかれているのではないでしょうか。情報に踊らされるということは、主体性を失うということです。事実を確かめる営みを放棄するなら、「人間が人間である」ことの方向が失われるということです。
 点数だけで人間が評価されていく流れに拍車がかかっています。社会はさまざまな人間によって成り立っています。義務教育はさまざまな生徒が集まってくる一つの社会であるはずですが、一定の評価だけに生徒を当てはめていくことは没個性化であり、人間のもっている自立性を妨げるのではないでしょうか。皆同じ方向を向いて、自分を見つめたりする時間もなく、考えることも許されず、画一化されていくことは悲しいことです。
 『仏説 阿弥陀経』には「青色青光(しょうしきしょうこう) 黄色黄光(おうしきおうこう) 赤色赤光(しゃくしきしゃっこう) 白色白光(びゃくしきびゃっこう)」と説かれています。それぞれがそれぞれに光輝くこと、私たち一人ひとりが「私は私でよかった」と言えるような眼差(まなざ)しをもって生きていくことが問われている時代ではないでしょうか。

本多雅人(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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