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Vol.48:スピリチュアル・ブーム 本多雅人  近年、老いも若きもお墓参りをされる人が急増しています。『実用介護事典』(講談社)に「お墓参り」という項目があります。理学療法士の三好春樹さんが執筆しているのですが、「老人にとって墓参りは、配偶者など亡くなった人との関係を確認することであり、介護者が墓参りに同行することは、介護保険では認められなくても大切な介護のひとつである」と書かれていました。なるほど、お年寄りのお墓参りの様子を見ていると、結構生き生きしているのです。自分の居場所を確認しているのでしょう。実は、若い人たちもお年寄りと同様、この世を超えた目に見えない何かとのつながりを求めて、お墓参りをしている傾向があるように思います。
 新たなつながりを模索する状況が、いわゆる「スピリチュアル(精神性・霊性)・ブーム」という現象を呼んでいます。バブル崩壊後の1990年代初頭にかけてもこの現象があり、オウム事件の影響で一時、沈静化していましたが、近年、再び話題になっています。
 そのブームの背景には、孤独や不安、空しさなどの問題がひそんでいるように思います。経済第一の価値観が崩れ、出世や起業に自分らしさを見つけることができなくなってきたなかで、「自分とは何か」を強く希求する時代になったのでしょう。その問いはとても大切なのですが、問題は、何に出遇(であ)うかではないでしょうか。オウム事件以降、宗教は敬遠され、超能力、前世、来世、オーラ、霊視など、明るい感覚でスピリチュアルを語る方向が主流になっています。テレビ番組でも頻繁に放送され、高視聴率をマークしています。それで本当に自分が明らかになっていくのなら問題はないのでしょうが、答えが欲しく癒(いや)されたいと、安直にそこに解決を求めていくことで、逆に、自分が自分でなくなってしまう危険性も孕(はら)んでいるのではないでしょうか。
 今年は「2007年問題」に当たります。いわゆる団塊(だんかい)の世代が60歳という定年を迎え、それに伴って予想される諸問題を総称して、こう呼ばれています。ふりかえってみると、この団塊の世代から核家族化が進行し、家庭からお仏壇(お内仏〈ないぶつ〉)が消えていったのです。お仏壇の消滅は、人間の知性を超えた大いなる世界の消滅を意味し、経済的尺度で人間が価値づけられていったのです。経済的価値が崩れ、仏教にふれる世界を失ったなかで、現在の「スピリチュアル・ブーム」があります。
 孤独や不安、空しさなどの一番の問題は、明日を夢見て、いまの自分を引き受けられないことにあるのではないでしょうか。その自分を丸ごと受け容れて生きる智慧と勇気が欲しいのでしょう。その眼(まなこ)を与え続けてきたのが、スピリチュアリティの本流たる「仏教」と言っていいのではないでしょうか。
 まさに世代を超えて、「自分とは何か」を求める時代になったのです。古来より多くの人びとに生きる意欲を与え続けてきた「仏教」に、あらためて注目する時が来たのではないでしょうか。

本多雅人(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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