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keyword:直感と思考
Vol.54:チャンスは、準備された心に降り立つ 嵩海史  ある人物が、複数の選択肢から一つの正解を択(えら)ぶテストに臨んでいる場面を想像してみたい。最初、その人物は、直感によって、ある選択肢が正解だとひらめいた。その直後、いや、もしかすると別の選択肢が正解かもしれないと悩んでしまう。そして、考えてみても答えが絞れないため、最初の答えをもって回答とした。
 その時、その人物はこんなことを考えていた。「最初に答えが浮かんだ選択肢で最終の回答としよう。なぜなら、人間のファーストインプレッション(第一印象)・直感は、通常の思考よりも鋭い感覚だから」。これは想像上の話であるが、このような根拠で結論を下す人は案外多いのではないか。
 このような場面で、最終の正解を導き出そうと、悩みもがくことを、私は否定するつもりはない。さらには最近、直感が脳の活性化にも関係しているとも言われ、また、直感が一足飛びでものの本質を捕まえることに役立つことも十分にあり得ることだと思う。そのような直感のすぐれた面を認めるものであるが、それでも直感について、危惧する点があるような気がしてならない。それは、私たちが直感というものに必要以上に価値を置きすぎている、ということである。そう思うに至ったのは、福岡伸一氏の『生物と無生物のあいだ』(講談社)という本を読んだことがきっかけだった。福岡氏は、
往々にして、発見や発明が、ひらめきやセレンディピティによってもたらされるような言い方があるが、私はその言説に必ずしも与(くみ)できない。むしろ直感は研究の現場では負に作用する。これはこうに違いない! という直感は、多くの場合、潜在的なバイアスや単純な図式化の産物であり、それは自然界の本来のあり方とは離れていたり異なったりしている。(『生物と無生物のあいだ』56頁)

と述べている。このような直感に対する言説は、従来、あまり指摘されてこなかったように思う。
 福岡氏によれば、パスツールはChance favors the prepared minds.(チャンスは、準備された心に降り立つ)という言葉を残しているそうだ。この言葉は、思考より直感のほうがすぐれていると無根拠に思ってしまう人間に対して(多かれ少なかれそういう心持ちに流されやすい傾向、弱さが私たちにはあるのではないか)、直感にいたるまでの着実な準備、そして綿密な思考の大切さ、さらにいえば、直感を得た後の思考の大切さも含め、知らせようとしている言葉と私には感じられるし、大事にしたい言葉だと思う。

嵩 海史(親鸞仏教センター研究員)

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