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keyword:浄土
Vol.55:類語辞典を読む 羽塚高照  文章などを書いていると、自分のボキャブラリーの貧困さに悩まされることがしばしばですが、そんなとき、私は「類語辞典」を引きます。自分の言いたい内容を的確に表してくれている言葉を捜(さが)すわけですが、類語の多さに唖然(あぜん)とし、逆に、立ち往生してしまうことも、少なくありません。しかし、それは同時に、日本語のもつ奥深さを発見できたことの驚きでもあります。
 ただし、私にとって、類語辞典には一つの問題があります。それは、類語辞典を、つい読み耽(ふけ)ってしまうことです。「類語」ですので、必ずしも、同じ意味、あるいは近い意味の言葉が項目として並んでいるわけではなく、少しずつ意味がずれていったり、ときにはその対義語が隣り合っていて、それはまるで連想ゲームのようです。私が持っているのは『三省堂 類語新辞典』ですが、そこでは、まず【自然】【人間】【文化】と大きく三つに枠組みして、その下に六つずつの〔ジャンル〕を設定し、さらに細かい《分野・領域》が設けられて、語彙(ごい)が採集されています。その他、さまざまな工夫がされており、序文によれば「眺めて楽しくなる読み物」を目指したとあります。実際、そうなっています。
 あるとき、「浄土」という言葉は、類語辞典ではどうなっているのか、ということが気になって、調べてみました。「浄土」は、【文化】〔生活〕《国・町》という区分で掲載されています。この区分には、真宗人としては大いに疑問なところもありますが、とりあえず「浄土」にたどり着く少し前から項目を挙げてみます。
…… 天国 楽園 パラダイス 楽天地 別天地 壺中の天地 
 知らない言葉が出てきました。「壺中の天地(こちゅうのてんち)」とは、‖界を忘れる別天地、⊆鬚魄んで俗世間を忘れる楽しみ、という意味だそうです。続けます。
壺中の天地 桃源郷 楽土 理想郷 
 少し近づいてきたでしょうか。
理想郷 ユートピア ハーレム 極楽 浄土 
 やっと「浄土」にたどり着きました。それにしても、「極楽」の一つ前、「浄土」の二つ前が「ハーレム」とは! これは、疑問どころか抗議したほうがよいかもしれません。
浄土 幽界 冥界 冥土 三途の川 黄泉 草葉の陰 ……
 

どんどんと落ちていってしまうので、これくらいで止めておきます。
 「浄土」とは何か、それをどう理解すればよいのか、そしてそれを、この現代においてどう表現すればよいのか――これは、私のような真宗に学ぶ者にとって、きわめて重要な、切実な課題です。自分の〈実存〉の中で咀嚼(そしゃく)して、自分の中から言葉を紡ぎ出して表現していくしかないのだと、少なくともその点に関しては辞典に頼っていてはいけないのだと、身につまされて辞典を閉じるのでした。

塚高照(親鸞仏教センター研究員)

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