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keyword:物/豊かさ
Vol.63:豊かさの概念 法隆誠幸  「物が売れない時代」と言われて久しい。車・AV機器・家電製品など、全般にわたって消費が低迷しているという。比較的買い替えサイクルが短いとされるパソコンでも、平均使用年数はずいぶん伸びているそうだ。さき頃開催された洞爺湖サミットの中心議題であった「環境への意識」、ということも多少なりとも影響しているのかもしれない。
 少し前に、あるマスメディアが独自に行なった消費者調査の結果が大変興味深かった。「物を買わない理由」をさまざまな年代の人びとを対象に、街頭アンケートという形で聞くのであるが、一番多かったのが「経済的に余裕がない」という答えである。
 しかし、それに次いで多い答えが、少し意外であった。「欲しい物がない」、と言うのである。若い世代ほどその傾向は強い。確かに、「いま、どうしても欲しい物があるか」と自問してみれば、これという物はなかなか思い浮かばない。「物が売れない時代」は「物余りの時代」とも言われるが、この消費者調査の結果は、ほとんどの日本人が物質的な豊かさを十分に享受していることの表れとも見ることができるだろう。
 ところで、「欲しい物がない」と答えていた人も、お金を使いたいことはあるのだという。「物にではなく、自分に使いたい」。インタビューを受けた女性は、そのように毅然と答えていた。思うに、生きることに不安があるということは至極当然であるけれども、必要以上に不安を煽(あお)るいまの社会にあって、自分に投資したいということもあるのかもしれない。しかし、少し違った見方をすれば、それは物で満足するということから、人間の内面へと意識が向き始めたとも言えるのではないだろうか。例えば、各大学等が取り組んでいる生涯学習制度や、ここ近年話題となっている「ロハス」(健康と環境に配慮したライフスタイル)という、一見物中心の価値観とはまったく異なるようなものでも、それは自分自身の内面への探究心というところで通じているようにも思えるからである。
 「欲しい物がない」というのは、全てが手に入っているけれども満たされてはいないという、言い換えれば「何が本当に欲しいのか分からない」ということではないだろうか。「物が売れない時代」は、そんな"豊かさの概念"の転換期なのかもしれない。

法隆誠幸(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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