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keyword:豊かさ、環境
Vol.69:環境の有限性から人間の倫理を考える 山本伸裕  人間も地球に暮らす一個の生物であり、地球環境のうちで生かされ、生きてきたという事実を、私たちはゆめゆめ忘れてはならない。
 ある学説によれば、人間と同じ60kgサイズの哺乳類が、所与の自然環境のなかで生きていくことのできる生息密度は、1km平米あたり1.4人程度と算定される。現在の日本の人口密度は、1km平米あたりおよそ340人、最も人口密度の高い東京23区に至っては約13,500人にのぼる。これはほぼ、哺乳類としての生息密度の約10,000倍に近い数字である。
 何が、私たちにこうしたミラクルを可能にしたのか。それは、人間が自らの生活に適する環境を作り出すことに成功しているからにほかならない。
 そうした環境を作り出し、それを支えていく背景に、膨大(ぼうだい)なエネルギー消費があることは言うまでもない。たとえば、体重60kgの平均的な日本人成年男子が身体を維持していくのに必要な標準代謝量は90W程度とされる。それに対して、現在の日本人一人あたりが消費するエネルギー量は約5,800Wと見積もられているから、単純に計算しても、日々、約65人分のエネルギーを一人の人間が消費していることになる。
 よくもまあ、こんな生活が許されてきたものである。この「豊かな」生活を支える背景に、市場主義経済という仕組みがあることは見逃せない。そこで生み出される幻術が、私たちの「豊かな」生活を支え、可能にしてきたのも事実であろう。私たちの多くはお金さえ出せば、それに見合った利益を享受できるといった信仰を心のどこかに抱いている。100億円払えば宇宙旅行にさえ行ける時代であるが、実際に100億円出して宇宙旅行に行こうとする人は、まさにそうした信仰の奴隷と言っていい。そのようなことは、地球という限りある世界のなかに、しかもあらゆるものに生かされて生きている存在として、そもそも許されてはいないのではないか。
 昨年の下四半期に、世界を襲った金融危機は、百年に一度の深刻な経済危機だともいわれる。本当にそうであろうか。私たちは、新たな経済政策や技術革新の知恵によってこの危機を乗り越えることができるのか。私には、とてもそうは思えない。私たちの罪深い生活のありようを根本から見直し、地球環境と和解する以外に、人間の未来はないというのが私自身の率直な感想である。

山本伸裕(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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