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keyword:エコシステム・生活・罪悪
Vol.77:人間生活の抱える罪悪性 山本伸裕  「自然に帰れ」と唱えたのはフランスの哲学者ルソー(1712〜1778)である。この言葉が発せられてから、350年ちかくの年月が経過した。地球環境という問題に向き合わざるを得ない私たちにとって、この言葉はルソーが唱えたのとは違う文脈で、またぞろよみがえってくるものがある。人間と自然との共存の必要という文脈で、である。
 2009年夏の総選挙に勝利した民主党は、当時与党であった自民党が温室効果ガスの9%の削減目標を掲げたのに対して、1990年比で25%の削減目標を公約に掲げた。これは、1997年の京都議定書で掲げられた目標が6%であったことを考えれば、エコシステムの破綻を防ぐための取り組みとしては、相当の前進であると評価できるのかもしれない。とは言え、そうした厳しい削減目標をクリアすることができれば人間と自然の共存という理想が近づくかと言えば、実際にはNOであろう。
 あるデータによれば、日本人一人当たり、人間サイズの哺乳動物が自然のなかで生きていくことのできる量の60倍以上ものエネルギーを消費しながら生活しているとされる。しかも、人間サイズの動物が自然と完全に共存して生息できる個体数は一平方キロあたり1.4/?と試算されているのに対し、現在の日本の人口密度は約340人/?だから、おそろしい数の人間がおそろしい勢いでおそろしい量のエネルギーを消費し続けていることになる。
 今の私たちの生活が、地球環境にどれほどの負担をかけているかを考えるにつけ、閉口するよりほかない。もとより、地球環境を守るためには温室効果ガスさえ抑制すればいいという話でもなかろうが、かりに25%の削減目標が達成されたとしても、地球環境の破綻へのカウントダウンは到底止めることができないであろう。数ヶ月間で急激に太ってしまったために命の危険を指摘されてダイエットを決意した人が、一日に100回だった食事を頑張って75回に減らしましたといったレベルの話なのである。
 私たちは現代社会に生まれた落ちた瞬間から、過剰なエネルギーを消費して暮らすように仕向けられている。好むと好まざるとに関わらず、社会のシステムがすでにそのように出来上がってしまっているからである。そうした社会に生まれてきたこと自体、私たちの責任とはいえない。けれども、自然のなかの一存在として自らの生き方を真摯に省みるとき、人は自己という存在のもつ罪と責任を感じずにはいられないものなのではないか。少なくとも、そうした感覚をもつ人間は、地球環境破綻のカウントダウンはもはや誰にも止められないとわかってはいても、最大限の努力をせずにはいられないものなのではないか。
 生きとし生けるものを育んできた地球環境の崩壊を回避する唯一の希望があるとすれば、現代の人間がもつ罪という感覚がどれだけ多くの人に共有されるかということ以外にないのではないか。25%の削減目標どころではない。人間の生活のありようそのものが根本から見直されることなしに、私たちの未来はないであろう。

山本伸裕(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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