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Vol.84:「親鸞思想が人を引き付ける理由(わけ) 大谷一郎  人間の欲望はとどまるところを知らない。先日、テレビで放映されたNHKスペシャル「人体"製造"〜再生医療の衝撃〜 臓器移植の最前線」、を見てそう思った。切断された指も細胞外マトリックスという「妖精の粉」を使い、幹細胞を活性化することにより、元どおりにすることができるという。同じ方法で、豊胸や若々しい肌も手に入れることもできる。
 また近い将来、豚に人間の肝臓をつくらせることも可能になり、悪くなった臓器はつくりだされたスペアの臓器と取り換えられる。まさに「人体の部品を製造する時代」に、すでに入っているのだ。さらに、クローン人間の製造も実際の射程に入っているらしい。クローン羊「ドリー」がイギリスで誕生したニュースを驚きとともに聞いてから、まだ15年程しか経っていない。科学技術の進歩は凄まじいものがある。
 病気で臓器の移植を待ち望んでいる人たちなどにとって、このようなことは朗報といえるだろうし、最先端で研究している医師たちは、自らの知的欲求もあるだろうが、基本的には、病気で苦しんでいる人々のためを思い、研究を加速させているのだろう。
 おそらく、死を恐れ、生に執着する人間の本質は、不老不死という永遠の命を追い求めた秦の始皇帝の時代と何ら変わっていない、というほかない。人はどこかで永遠の命を求めている。だからこそ医療の現実もここまで来ているのだろう。
 しかし一方で、この番組に登場していたアメリカの医師は「医療とは母なる自然に逆らうことである」と明言していたが、人間の「いのち」さえ人の手で作り出せるものなのだという人間の能力に対する過信は将来何をもたらすのだろうか。
 親鸞仏教センターの仕事をしていて、最近、思想界以外の、医療、経済などさまざまな分野の方々も親鸞の思想に興味をもっているように感じることが多い。親鸞の思想の根底には、「人間は愚かである」というメッセージがある。そして愚かである自分を徹底的に見つめ、自力不能と気付くところにしか阿弥陀の救いはない。その「愚かさ」に目をつむり、欲望のままに突き進んでいくとどうなるのか。それは医療だけでなく、最近の世界経済の状況をみても明らかだろう。
 人間の能力を過信することに対する違和感が、さまざまな分野で親鸞の思想を引き寄せているのかもしれない。

大谷一郎(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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