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親鸞仏教センター通信
第3号 September 2002
[巻頭言] 揺るがす言葉
親鸞仏教センター研究員 田村 晃徳
 『アンジャリ』第3号に徳永進氏が「『臨床』という言葉が好きだ」と書いておられた。その表現に倣(なら)えば、私の場合は「実存という言葉が好きだ」となる。現在、実存が日常語として用いられることはあまりないかもしれない。しかし、それは実存という言葉が生命力を喪失したのではない。私自身がそうであったように、実存とは現代においてもなお人を惹(ひ)きつける言葉なのだ。それはその言葉に内在する力に由来するのであろう。人を惹きつけ、人の内面に何かを喚起する、これは言葉として大切なことだ。生きている言葉は人を生かすのである。

 実存という言葉は、文字からは何を意味しているのか分かりづらい。しかし、それを「現実存在」の略称だと解説することは無意味であるどころか、かえって言葉の躍動性を断ち切るだろう。文字の意味は分からなくとも、実存という言葉に触れた者は何かを感じることができる。それは、その言葉が人間に実動しているとも言えるし、人間がその言葉を本能的に求めていたとも表現できる。つまり、無意識にせよ、自身の在り様に不安を抱くからこそ、人は実存に惹かれるのである。実存という言葉は私たちに前を示すものではない、かえって足下を凝視させる。日々時代の波に流れていく私たちに、その流れをとめて、今一度自身を考えさせる堰(せき)のような言葉である。実存に限らず、宗教的な言葉とはそのようなものの他にあるだろうか。

 街を歩き、誰もが気づくことは日本語関連の書があふれていることだ。これは、言葉があまりにも乱れてしまい、本来の日本語に対する望郷にも似たような思いが今の流行を形成しているのだろう。言葉は空費されるものとなった。これは現代人の状況と無関係ではない。言葉と生は連関する。現代人は虚しさを抱えている、とよく言われるが、それは用いる言葉に表れているだろう。時代を問わず、空虚な生を送る者から発せられる言葉がまた空虚であるように、真実の言葉は、人間に真実の生を惹起しようとするのだ。

 実存とは人間を揺るがす言葉だ。ひるがえって、現代にはそのような言葉がいかに希少となってしまったことか。センターはこのような時代に生まれた。私たちが果たすべき課題は明確であろう。
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