親鸞仏教センター
お問い合わせ
 
「現代を生きる人々」と対話するために
HOME親鸞仏教センター概要アクセスサイトマップ
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内研究員一覧
 HOME > 出版物紹介 > 親鸞仏教センター通信
出版物紹介
機関紙 親鸞仏教センター通信
親鸞仏教センター通信
第6号 June 2003
[巻頭言] 大きに須(すべか)らく慚愧(ざんぎ)すべし
親鸞仏教センター研究員 藤原 正寿
 親鸞仏教の特質は、悩みや苦しみを縁として自らの罪業性を慚愧するところにある。ところが、現代社会は、その縁となるべき苦悩と正面から向き合うことを許さない社会である。都合の悪いものを忌避(きひ)し、排除することが、豊かさや幸福をもたらすという価値観が広く現代を覆(おお)っている。

 親鸞聖人の時代から、否、人類は誕生以来、悲しみや苦悩とともに歩んできた。決して、現代人だけが苦悩しているわけではない。しかし現代は、その苦悩と向き合う時と場所が奪われている。苦悩を感じさせないあらゆる装置、例えば、日々進歩する医療技術や刺激を止めない娯楽などが、苦悩する人に先回りして準備され、苦悩を忘れさせる。苦悩するのは、その装置の存在を知らないためか、手に入れられないことに原因がある、と思わされているところに現代特有の問題がある。その存在を知らない無知と、手に入れる努力を怠っていることに人間の不幸がある、と思わされているのである。

 したがって、私たちは常に、「今」を犠牲にしてでも、苦悩しなくてもよくなる技術や装置を追い求めることに駆り立てられる。結果、日常の生活全体が、金銭とそれを手に入れるための時間、つまり、投資とその効果という経済価値に置き換えられてしまっている。「いのち」の意味が経済価値にすり替えられるということは、経済的充足を得られないことイコール、生きていく意味の喪失となるのである。経済至上主義はまた、競争社会を正当化し、構造的な強者と弱者を作り出す。現代が、文明社会という希望と豊かさを感じさせる呼び名とは裏腹に、私たちに大きな闇を感じさせるのは、強者の驕(おご)りと、弱者の妬(ねた)みがぶつかり合っているからであろうか。

 このような価値観への飽くなき執着に、果たして正義があるのか。他を犯してでも自らの欲求を満足しようとする行為を正当化し、明るみをもたらすと強弁する経済社会は、本当の豊かさなど生み出しはしない。忙しく走り続けることを一旦やめ、勇気を持って立ち止まり、感じている苦悩と矛盾から逃げずに向き合うことが求められている。私たちは幸せになる権利があるのだ、という強迫観念から慚愧とともに解放されるところに、「今」に満足する価値観が示されている、というのが親鸞仏教の示している方向性ではないか。
ご購入・購読のご案内
Backnember ページトップへ
アンジャリ親鸞仏教センター通信現代と親鸞『教行信証』研究検証プロジェクト真宗聖典
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内バックナンバー一覧
親鸞仏教センター
MAP
親鸞仏教センターTwitter親鸞仏教センターfacebook

親鸞仏教センター [真宗大谷派]<br>〒113-0034 東京都文京区湯島2-19-11
TEL 03-3814-4900 
FAX 03-3814-4901 
mail:shinran@higashihonganji.or.jp
 
掲載の記事・写真の無断転載を禁じます
Copyright©The Center for Shin Buddhist Studies. All rights reserved.
ホーム 親鸞仏教センター概要 講座のご案内 スタッフ紹介 バックナンバー一覧 リンク サイトマップ アクセス