親鸞仏教センター
お問い合わせ
 
「現代を生きる人々」と対話するために
HOME親鸞仏教センター概要アクセスサイトマップ
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内研究員一覧
 HOME > 出版物紹介 > 親鸞仏教センター通信
出版物紹介
機関紙 親鸞仏教センター通信
親鸞仏教センター通信
第8号 December 2003
[巻頭言] 今を振り返り、未来につなぐ
親鷲仏教センター研究員 櫻井 智浩
 今年も、残すところ1ヵ月となった。年末に近づけば、今年の重大ニュース等といったかたちで今年を振り返ることになるだろうが、むしろ、この「年末」という区切りの時期にしか、過去の出来事を「振り返る」ことができない、というほうが実感に近い。実際、日常の中で、物事を「振り返る」局面が、少なくなったような気がする。それよりも、日常では、物事の「変化」に対応するのに精一杯で、「振り返る」ことはかえって妨げとなる。世相も、個人がおかれている状況も、めまぐるしく変化している。その変化は、「成長」「進歩」という、より良い方向に向かう兆(きざ)しとして捉えられていた右肩上がりの高度成長時代と異なって、現状、そして将来の不安を増幅する方向に作用している。そのことを十分認識しながらも、やはり「苦難の今からより良い未来へ」という進歩史観に則って問題の解決を図らざるを得ないが、そのことがまた、今のわれわれのあり方を窮屈にしてしまっている。より良い未来の希求、そのこと自体を否定するつもりはない。しかし、それが果たされるためにも、「今」から「未来」へ、というだけではなく、「今、ここにある」こと、そこに踏みとどまり、それがいかに成り立っているのか、その根拠を「振り返る」視座が、求められているのではないか。
 仏教は、「今、ここにある」ことを振り返ることを大切にしてきた。『教行信証』の冒頭は、「竊(ひそ)かに以(おもん)みれば」という、まさに「振り返る」言葉から始まる。「竊かに」というのは、公なる本願の仏法を私的に了解したということを表す謙譲表現(『親鸞仏教センター通信』創刊号・『歎異抄』試訳〈序〉語註参照)であるが、その謙譲の理由をさらに尋ねるならば、それは決して教条主義的な配慮に基づくものではなく、親鸞聖人が尋ね当てられた「今、ここにある」ことを成り立たせている「弥陀(みだ)の誓願(せいがん)」との出遇(あ)い、その感得の事実に自ずと頭が下がる、ということであろう。「今、ここにある」ことを振り返ること、それは今を回復することに他ならないのである。
 苦悩の坩堝(るつぼ)のような首都・東京で、各界の有識者の方々から現代人の諸課題の実相を教えていただく中で、われわれの課題も少しずつ見えてきているように思う。家族のあり方、社会問題への取り組み方、そして、自分のいのちのかけがえなさの回復。そういった課題を、「今、ここ」に振り返りながら、未来につなげていきたい。
ご購入・購読のご案内
Backnember ページトップへ
アンジャリ親鸞仏教センター通信現代と親鸞『教行信証』研究検証プロジェクト真宗聖典
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内バックナンバー一覧
親鸞仏教センター
MAP
親鸞仏教センターTwitter親鸞仏教センターfacebook

親鸞仏教センター [真宗大谷派]<br>〒113-0034 東京都文京区湯島2-19-11
TEL 03-3814-4900 
FAX 03-3814-4901 
mail:shinran@higashihonganji.or.jp
 
掲載の記事・写真の無断転載を禁じます
Copyright©The Center for Shin Buddhist Studies. All rights reserved.
ホーム 親鸞仏教センター概要 講座のご案内 スタッフ紹介 バックナンバー一覧 リンク サイトマップ アクセス