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親鸞仏教センター通信
第12号 December 2004
[巻頭言] わたしの〈居場所〉
親鷲仏教センター研究員 伊東 恵深
 この春、東京での生活を始めた当初、住宅マンションの広告の多いことに驚いた。毎日大量のチラシが、新聞の折り込みや郵便受けに入っており、そのいずれもが「交通の便の良さ」や「自然との共生」など、生活環境の充実を売りものにして、購買意欲をかき立てている。いったいどれほどの需要があるのかと思っていたが、東京都の人口は、ここ8年ほどの間、毎年8〜10万人の勢いで増加しているという(2004年2月24日、東京都発表)。つまり、地方都市が毎年一つ誕生している計算になる。
 これまで、地方分権の促進が久しく提言されてきたが、この一極集中化の傾向は止みそうにない。その要因は多岐にわたるが、その一つとして、都市生活の利便性が挙げられるのではないか。「職住商」などの機能が一体化した生活環境は、多くの現代人を魅了している。その理由は、生計を立てるためであったり、便利で快適な暮らしのためであったりと、千差万別であるが、ともかく、自分にとってより良い居場所を都市空間のなかに見いだそうとしているのである。それは同時に、癒され安らぐことのできる心の拠りどころを、無意識のうちに探し求めているのでもあろう。
 さて、このような現状を目の当たりにして、清沢満之の言葉があらためて想い起こされるのである。

大道を知見(ちけん)すれば、自己に在(あ)るものに不足を感ずることはないであろう。自己に在るものに不足を感じなければ、他に在るものを求めることはないであろう。(「絶対他力の大道」私訳)

 これは、清沢の宗教的信念を述べた一文である。「大道を知見する」とは、自分のはからいを超えた絶対無限のはたらきに託して、自らの分限を自覚することである。換言すれば、人生の拠りどころが明確になることである。それによって、いかなる状況や環境にあっても、自分に不足を感ずることなく、現在に満足していくことができる、と教えられている。振り返って、われわれの生活はどうであろうか。現在の自分に満足することなく、常に理想の自分、あるいは理想の環境を、外的な条件のなかに追い求めているのではないだろうか。清沢の言葉は、その眼(まなこ)の方向を転ずる視座を与えているのである。
 人は時代とともに生きている。わたしも同様に、文明の利便性に浴し、現代に生活する者の一人である。そのようななかで、近代の合理性に立つ人間中心主義に流されることなく、現代が抱える闇といかに向き合っていけるか。いたずらに批判したり忌避(きひ)したりするのではなく、そこに噴出する矛盾と苦悩とをしっかりと見据えていくことが求められている。まさに、わたしの〈居場所〉が問われているのである。
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