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親鸞仏教センター通信
第16号 September 2005
[巻頭言] 生老病死
親鸞仏教センター研究員 羽塚 高照
 10年間過ごした京の街を離れ、2005年4月からこの親鸞仏教センターの研究員に着任し、東京で暮らすこととなった。赴任当時の私は、ちょうど親鸞聖人が比叡山を降りられたときと同じ年齢であり、それはまた、釈尊が2400年以上前、さとりを求めて出家された年齢と同じであった。
 釈尊が、世間にある老病死と出家者の存在に気づき、王族の地位を捨てて出家されたという「四門出遊(しもんしゅつゆう)」のエピソードは有名であるが、いまここでは、『ブッダ・チャリタ』(原実訳、中央公論新社、大乗仏典13)に拠りながら、その出家をなんとか止めさせようとした、父であるシュッドーダナ(浄飯〈じょうぼん〉)王の行動に注目してみよう。
 王は息子が誕生した際、ある聖者から「彼は、将来王位を捨て、聖者の道を歩み、やがて解脱(げだつ)の道を解き明かす宗教(ダルマ)の王となるであろう」との予言を聞く。王は喜ぶが、同時に不安にもなる。息子の出家は、王族にとっては子孫断絶の危機となるわけである。そこで王は、息子を半ば幽閉(ゆうへい)状態にし、快楽を与え続けて、人生に悩むことのないよう、いわば無菌状態で息子を育てる。しかし、門の外に出て、世間の現実を目の当たりにした釈尊は、父王の説得の甲斐なく、ついに門を出て出家するのである。
 仏伝文学を読むとき、われわれは当然、釈尊が出家することを知っており、父王の行為はこっけいにさえも映る。しかし、はたしてわれわれは王を笑うことができるのだろうか。  「生(しょう)老病死」を忌(い)み嫌い、それらを遠ざけ、見ないようにする――という現代社会に対する批判はよく耳にするところである。先の王の行為は、息子から生老病死の苦悩を隠そうとしたものと言える。王が息子を外に出そうとしなかったのは、実際に、世間にはそうした苦悩が充満していたからであろう。現代においては、さまざまな分野における技術の進歩により、生活は便利になり、寿命は延び、不治の病とされたものも少なからず克服されてきている。しかし、先の批判は正しいと認めざるを得ない。いま高度に専門化し、複雑化した現代社会は、生老病死がきわめて気づきにくくなってしまっている。釈尊が、まさに身にせまる切実な問題として背負われた「生老病死」という課題は、見えにくくなっているだけに、一層、先鋭化してわれわれに突きつけられている。
 研究員として赴任して以来、各分野で、それぞれの専門的な立場から、「生老病死」の門を開こうとする方々がいることに、あらためて気づかされている。私も仏法に学ぶものとして、現代を生きるひとりの人間として、「生老病死」の事実が人間の生き方を根本から問いかけている課題として受け止めていきたいと思う。
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