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親鸞仏教センター通信
第18号 June 2006
[巻頭言] 自己を開く
親鸞仏教センター研究員 伊東 恵深
 昨年(2005年)末、あるテレビ番組で、全盲の日本人ピアニストが、世界で最も難関だといわれる「ショパン国際ピアノコンクール」に挑戦する様子を特集していた。彼の名は辻井伸行くん。現在、東京音楽大学付属高等学校に通う17歳で、世界各国からの参加者のなかで最年少での出場であった。まだあどけなさの残る容貌ではあるが、しかし演奏中の辻井くんは実にすがすがしい顔をしており、彼の奏でる旋律には、不遜も卑下もないありのままの自分が表現されているように感じられた。
 最終的に辻井くんは、予備予選・一次予選は通過したものの、残念ながら本選への進出はかなわなかった。しかし、「いまの17歳の僕にできる限りのことを精一杯やるだけ。やるだけのことはやってきたから、もし落ちても悔いはない」という言葉が強く印象に残った。その屈託のない態度は、たしかに天賦の才能と不断の努力の賜物かもしれない。しかし何よりも、辻井くんは音楽を通して常に自分自身と向き合っているからこそ、たとえ逆境に直面しても自分を見失うことなく、その力を発揮することができたのではないだろうか。
 近ごろ、「自分探し」という言葉をあらためて耳にする機会が多い。「熱中できる趣味や自分に合った仕事を見つけたい」「他人にはない、自分にしかない才能を発見したい」、あるいは「自分がいまここに生きている意味や価値を明らかにしたい」等々。その目的や理由はさまざまである。しかし、このように多くの人が「本当の自分」を探し求める背景には、物質的豊かさを享受しながらも、現在の自分や社会の状況に対して、言い知れぬ閉塞感や漠然とした不透明感を感じていることが挙げられよう。
 清沢満之は、自己の信念を次のように表白する。「我(われ)他力の救済を念ずるときは、我(われ)が世に処するの道(みち)開け、我他力の救済を忘るるときは、我が世に処するの道閉ず」(「他力の救済」自筆原稿)。濁った波がとどまることなく押し寄せる闇黒の世のなかにあっても、人間存在の目覚めをうながして止まない阿弥陀の本願を憶念するとき、自分が真に生きていく道が開かれてくる。しかし、ひとたび自我意識に心を奪われるならば、その歩むべき道は黒闇に覆われ閉ざされてしまう。清沢はこのように述べて、親鸞の他力救済の教えを「処世の完全なる立脚地」として明らかにした。清沢の言葉は、現代の閉塞的状況を打ち破って、自己を切り開いていくための大切な視座を教えているのである。
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