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親鸞仏教センター通信
第20号 Desember 2006
[巻頭言]欲望の矢
親鸞仏教センター研究員 羽塚 高照
 2002年に出版された『百年の愚行』(Think the Earth Project、紀伊国屋書店)という写真集がある。およそ100点の写真により、その写真集がわれわれに突きつけるものは、人類が過去100年の間、自然環境や自分たち自身、そして何よりも自分たちの子孫に対して及ぼした、まさに「愚行」としか言いようのない現実の姿である。
 水質汚染により奇形化した魚、流出した重油にまみれたペンギン、煙を吐き出す煙突、皆伐された森林、核廃棄物、密猟のため殺されたサイ(犀)、大量のゴミ、爆弾の雨、地雷、強制収容所の犠牲者たち、配給を待つ難民キャンプの子どもたち。それぞれの写真は、あらためて私に考えさせる。「人類はとんでもない間違いを犯している」と。
 「戦争はいけない」「自然を大切に」「差別はいけない」、それはわかっている。誰もが当たり前と思っていることだ。にもかかわらず現実には、いまこの瞬間も、世界では戦争が起こっており、貧困のために命を落とす人たちがいる。政治、経済、科学、人種、宗教。問題が複雑に絡(から)み合っているなかで、いまも進行中の愚行に対して、いったいどうすればいいのだろうか。
その写真集の巻末に、「これからの100年に向けて」という文章が載せられている。その文章の末尾には、唐突に、次のようなブッダの言葉が引かれている。
子のある者は子について憂い、また牛のあるものは牛について憂う。実に人間の憂いは執着するもとのものである。執着するもとのもののない人は、憂うることがない。
(『ブッダのことば スッタニパータ』中村元訳、岩波文庫)
 ブッダは繰り返し説いている。欲望を捨て去りなさい、怨みの連鎖を断ち切りなさい、心に刺さった欲望の矢を抜き去りなさい、「わたし」「わたしのもの」というとらわれを捨てなさい。そう、確かに、人類がお互いに自らの欲望を捨てて、自我を主張することをやめれば、地球はいまよりももっと住みやすくなるかもしれない。しかし、それはあまりにも現実離れした夢想にすぎないのではないか。人類は、ブッダのその呼びかけを無視し続けてきた、そんな歴史をずっと繰り返してきたのだから。
 それでも私は信じている。仏教は、善と悪の二元論や、エゴとエゴとの対立や、怨み、憎しみ、悲しみ、その他すべての困難を乗り越えていくことができる道を示してくれている、と。何もかも無自覚に受け入れることをやめ、立ち止まって、欲望の矢が突き刺さった自分の心を見つめること。どんな時代にあろうとも、私たちはそう主張し続けなければならないと思う。
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