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親鸞仏教センター通信
第38号 September 2011
[巻頭言]先の見えない世界から
親鸞仏教センター研究員  春近 敬
 東日本大震災から半年が過ぎようとしている。マグニチュード9.0という未曾有の巨大地震によってもたらされた大津波は、東日本の太平洋沿岸部を壊滅させた。町や村が丸ごと津波にさらわれて、想像を絶する数の方々がお亡くなりになり、また未だ行方不明となっている。加えて、同時に引き起こされた福島第一原子力発電所の事故は深刻な事態が続いており、周辺の相当の範囲の住民が、強制的に自分の家から遠ざけられている。ここまでが、「いま」の私が見聞きし、茫然(ぼうぜん)とたたずみ、無力感に打ちのめされている事実である。
 実は、今回この文章を書いている「いま」の私は、まだ夏を迎えていない。このような出版物は多くの方々の仕事を経て出来上がっているので、元の原稿は出版よりも少し前に書かれることになる。正直に申し上げれば、この文章が皆さまのお目にかかるころには、この国が一体どのような姿になっているのか、いまの私には皆目見当がつかないのである。行方不明の方々が少しでも見つかったか。避難所にいらっしゃる方々がどのような生活を続けられているか。再度の津波をともなう大規模な余震が来ていないか。被災地の復興はわずかでも進んだか。原子力発電所の事故処理や放射性物質の拡散といった問題はどのような収束の途をたどっているのか。電力不足が言われるなか、エアコンの使用を前提とした建築が多いところで暑い夏を無事に乗り切れているのか。
 考えてみれば、このような「予見」というものは、もとよりつかない世界だったはずなのである。生死無常、老少不定の理(ことわり)は仏教が問いかける根本課題の一つである。しかし、私たちは都合の悪い「予見」を斥(しりぞ)け、「予見」のつかないことを恐れる。明日も、1ヶ月後も、1年後も、今日とまったく同じ世界が続いているであろうという目算によって、私たちは社会のシステムを成り立たせている。いま、改めて当たり前であったはずの事実に気づかされ、大きく揺さぶられているのである。
 かつて、20世紀の終わりが近づいてきたころ、「未来へ手紙を書く」ということが流行した。将来の自分や家族に手紙をしたためて保管し、多くは21世紀を迎えたときに開くというものであった。いまの私は、数ヶ月先の未来の自分と皆さまに向けて手紙を書いているような心持ちである。どうか、これ以上の悲しみや苦しみが少しでも増えませんように。この震災にであったすべての皆さまが、少しでも安らげる情況に近づくことができますように。そのように、自らに都合の良い「予見」を願わずにはいられない、「いま」の自分がいるのである。
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