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親鸞仏教センター通信
第44号 March 2013
処世術と、おばあちゃんの知恵袋
親鸞仏教センター研究員  内記 洸
 大型書店の一角だけでなく、駅の売店やコンビニなどのあらゆる「書籍コーナー」で、「自己啓発本」や「ハウツー本」と呼ばれる本が幅を利かせるようになったのは、一体いつごろからだろう。個々の身近な問題の解決から人生全般にわたる“生き方”の指南まで、それがどの程度の“how-to”を教えてくれるものなのかはそれこそ千差万別であるようだが、これは一面、現代という時代が抱えている“生きづらさ”を反映しているのではないだろうか。大きく言えば、「どのように生きていったらよいのか」という、この基本的な問いに対する確たる“答え”を、私たちはまだ見つけることができていないのである。
 「一体、どのようにしていったらよいのか」。この問いかけは今日の“僧侶業界”でも盛んである。若手僧侶が既存の宗門体質、宗派意識を超えて、さまざまな活動をしているということをよく耳にするし、それ自体大変なことだとは思うが、しかし、そもそもこの“how-to”の追求は、本当に私たちの生活に潜む生きづらさを解決し、本当に私たちの要求を満たしてくれるものなのだろうか。むしろ、この“how-to”という構図自体に、何か根本的な“闇”が潜んではいないだろうか。先日、この葛藤を大学時代の恩師に訴える機会があったのだが、その際、次のような返事をいただいた。「何を語るにせよ、どのような活動をするにせよ、大切なのはそれがどこから起こっているか、ということでしょうね」と。
 この「どこから」ということが実に難しい。例えば、純粋に世の幸せを祈って、あるいは人類の発展を願って生み出された技術であっても、それがわれわれにとって必ずしも“よい”結果をもたらすとは限らないということに、私たちは薄々気がついている。今日の社会における息苦しさを生み出してきたのは、何も悪意ばかりではないはずである。結果だけを求めるテクニック至上主義の空疎さは言うまでもないが、“善”を求め、しかもそれを「是」としてしまう私たちの志向性自体に、何か問題はないだろうか。自らの主体的実存的な「情熱」を引き受けて、親鸞はたとえば次のように詠(うた)う。「自力聖道の菩提心こころもことばもおよばれず常没流転(じょうもつるてん)の凡愚(ぼんぐ)はいかでか発起(ほっき)せしむべき」(『真宗聖典』501頁、東本願寺出版部)。
 私たちが本当に求めているのは、現代的な“how-to”ではなく、いわば「おばあちゃんの知恵袋」である。足りないのは合理的なテクニックを直接知ることではなくて、私たち自身の存在を温かく包みこみ、生き方を伝えてくれる“おばあちゃん”の存在である。この問いは切実であるが、求めて手に入るものでもない。当たり前のことだが。
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