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研究活動報告
公開講座 親鸞思想の解明
 連続講座「親鸞思想の解明」は、「浄土を求めさせたもの―『大無量寿経』を読む―」の第98回から100回が東京国際フォーラム(有楽町)で行われ、98回と99回では「東方偈」について、100回では「第二十二願成就文」について、センター所長・本多弘之が問題提起をし、有識者と一般参加者の方々との間で活発な質疑応答がなされた。ここでは、98回から一部を紹介する。 (親鸞仏教センター嘱託研究員 越部 良一)
「浄土を求めさせたもの─『大無量寿経』を読む─」40

願生という深い祈り

親鸞仏教センター所長 本多 弘之
■ 無量寿経』は願生(がんしょう)の教え
 「東方偈」のなかで「その仏の本願力、名(みな)を聞きて往生せんと欲(ねが)えば、みなことごとくかの国に到(いた)りて、自(おの)ずから不退転に致(いた)る」(『真宗聖典』49頁、東本願寺出版、以下『聖典』)と。仏の本願力によって名を聞くということが起こるなら、その聞名(もんみょう)のなかに、欲生(よくしょう) 、彼の国に生まれたいという願いが成就して、自ずから不退転に致ると。不退転、退転しないということは、仏の願心にしたがって、仏の道を求め、その道をもう外れない。だから、衆生は光のなかにあることをもう忘れない。このようなことが持続すると。
 この偈文の前半の二句、「其(ご)仏本願力 聞名欲往生」が『教行信証』「信巻」の「信の一念」のところに引用されています(『聖典』239頁)。この一念を、親鸞聖人は「正信偈」で「よく一念喜愛の心を発(ほつ)すれば、煩悩を断ぜずして涅槃を得るなり」(『聖典』204頁)と言われていて、煩悩を断たずして涅槃を得るという大乗仏教の課題が、凡夫の努力を待たずして、本願成就の救いとして一念の事実のところに成り立つのだと。つまり、衆生は煩悩具足の凡夫であるにもかかわらず、如来の呼びかけが衆生の本質には響いていて、それに気づくことは、真実信心というものが、如来の素質が、衆生にあると気づくことなのだと。
 仏教は、人間の苦悩の本質は何であるかを仏が見そなわして、そこから解放しようとする。あらゆる衆生が自我の執(とら)われをもち、自己関心から出られない。そのような自己関心を取り巻いて、苦悩の条件がいくらでも起ってくるのですから、それに対応し、そこから出ようとして人間は悪戦苦闘している。そこに、如来は苦悩の本質を見届けて、そこから本当に解放される場所を与えようと、こういう呼びかけが、欲生心という言葉になっているわけです。
 ですから、『無量寿経』の教えは、衆生の側からすれば本当に解放される場所がほしいという願生の教えです。如来のほうからすれば、そのための方法は我が名である。名を念ぜよと。名のところに願が衆生に届く。名を通してわれわれの闇が破られ、そして、われわれにとって大事な、解放される場所が与えられるのだと。
■ 願生は如来の回向(えこう)
 本願成就の文にある「至心回向」というのは、本願が成就することを語っている言葉で、如来の願いが成就することを語っているのだから、如来の回向が凡夫の上に成り立ったことを表すのだと、親鸞はいただかれた。その至心回向を受けて「願生彼国 即得往生」(『聖典』44頁)と書いてある。願生してもまだ往生できないというのでなくて、至心回向を潜(くぐ)り、願生すれば即ち往生すると。それは、「名を聞きて往生せんと欲えば、みなことごとくかの国に到りて」という言葉と重なっているわけです。
 願生という衆生の深い祈りは、如来の欲生心の成就として、如来の回向に値遇(ちぐう)するという形でいただけるのだと。これが親鸞聖人が明らかにした凡夫の救いです。凡夫は凡夫のままで、名号のいわれに出遇うなら、その名号の意味に出遇うところに本願と値遇する。それは如来の大悲回向と値遇することだと。値遇することができるなら、濁世の限界と無限なる大悲の世界との接点にわれわれは立つ。こういうことが成り立つのが信の一念なのだと。
■ 願生は前の命が終わること
 だから、信の一念を明らかにするために、『愚禿(ぐとく)鈔(しよう) 』で親鸞聖人は、善導大師の言葉、「前念命終(みょうじゅう) 後念即生」を引いてくるわけです(『聖典』430頁)。前の命に死ねばすぐ次の命、浄土の命が始まるのだと。つまり、「願生彼国」は「前念命終」、前の命が終わるということだと。それは信の一念である。そして、「即得往生」は「後念即生」である。そのように、本願成就文と善導大師の言葉とを結びつけて、本願と値遇することがもたらす衆生の救いを親鸞聖人は表されるわけです。
 凡夫の生活がどれだけ苦悩の命であろうと、有限の命であろうと、大悲のなかにある生活をいただいていける。本願の救いのなかにある、大悲はすでに包んでいると信ずる。それは不退転である。不退転は正定聚(しょうじょうじゅ)でもある。必ず仏に成る位をいただいて生きる。これは菩薩であるわけです。本願成就のところ、聞名のところに本願を聞き当てることができて、そこに、たすからない衆生がずっと歩み続けて行くことができる道が開かれるということです。
(文責:親鸞仏教センター)
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