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研究活動報告
公開講座 親鸞思想の解明
 連続講座「親鸞思想の解明」は、「浄土を求めさせたもの―『大無量寿経』を読む―」の第119回と120回が東京国際フォーラム(有楽町)で行われ、センター所長・本多弘之が問題提起をし、有識者と一般参加者の方々との間で活発な質疑応答がなされた。ここでは、先に行われた第117回から一部を紹介する。 (親鸞仏教センター嘱託研究員 越部 良一)
「浄土を求めさせたもの─『大無量寿経』を読む─」48

願生、即ち得生

親鸞仏教センター所長 本多 弘之
■ 一念に「断」が成り立つ
 「それ心を至して安楽国に生まれんと願ずることある者は智慧明達(みょうだつ)し功徳殊勝なることを得べし」(『真宗聖典』63頁、東本願寺出版、以下『聖典』)。この『無量寿経』の言葉を親鸞聖人は『教行信証』の「信巻」に引用しておられます。それは『聖典』では245頁の「真仏弟子」のご自釈の後です。これはどういう文脈かと言いますと、239頁を見ていただきますと、後ろから5 行目、「諸有(あらゆる)衆生、その名号を聞きて、信心歓喜せんこと、乃至(ないし)一念せん。至心回向(ししんえこう)したまえり。かの国に生まれんと願ずれば、すなわち往生を得(え)、不退転に住せん」。これは本願成就の文です。ここに信の一念ということが出てくるわけですけれども、このすぐ前のご自釈で、「「一念」は、これ信楽開発(しんぎょうかいほつ)の時剋(じこく)の極促(ごくそく)を顕(あらわ)し、広大難思の慶心(きょうしん)を彰(あらわ)すなり」と。信楽が開発されるときの時剋、これは極促だと。つまり念々の今だと。今が今に連続するよう な今、これは次の時を待たない。過去と未来を包んだ今。この今、我々が出遇っているこの今の会座(えざ)なり、この今の時に利益を得る。「広大難思の慶心」、出遇った無上功徳の喜びを、今、味わう。こういうことが押さえられています。

 その一念の内容が展開されてきて、「横超断四流(おうちょうだんしる)」と言われてくる。我々の流転の命、過去が現在に来たり、現在が未来に行くというふうに感じられる現在は、流転の現在。それを断つと。自分で断つのではない、横ざまに断たれる。本願力に よって断たれると。『聖典』の243頁のご自釈ですが、「一念須臾(しゅゆ)の傾(あいだ)に速(すみ)やかに疾(と)く無上正真道を超証す、かるがゆえに「横超」と曰(い)うなり」と。「一念須臾」、今です。横ざまに来たるものに出遇う。光に遇うということを親鸞聖人は強く一念というところに押さえようとなさる。そこに、横超、超証と、超えると繰り返し言われるわけです。我々が自分で自分を超えた世界、有限の世界から無限の世界へ超越するのでない。横超の本願力である。その横超のはたらきを信ずるなら、そこに願成就の一念が成り立つ。そのことが五悪趣を截(き)る、六道流転を超える。

 我々はいつまでも流転の中にいるではないか、だから生きているうちは駄目だ、死んでからしか行けないのではないか、などと考える浄土教もあるわけです。そういう浄土教は親鸞の浄土教ではない。それが、244頁の2 行目のご自釈、「「断」と言うは、往相の一心を発起するがゆえに、生(しょう)として当(まさ)に受くべき生なし。趣(しゅ)としてまた到るべき趣なし。すでに六趣・四生、因亡じ果滅す。かるがゆえにすなわち頓(とん)に三有(さんぬ)の生死(しょうじ)を断絶す」。「断」と言えるのは、それまでの苦悩の人生、流転の人生、闇の人生が完全に断たれるという事件が起こる、本願力との出遇いなのだ。それが往相の一心である。一心に一念、本当の今が与えられることがあるなら、そこに断が成り立つのだと。本願力のはたらきを信ずることにおいて完全に生死が超えられる。こういうすごいことをおっしゃるわけです。
■ 生死と涅槃との分水嶺に立つ
 行にたまわった信心は無上功徳だと。無上功徳の内実とは、今、迷いの人生がここで超えられるのだと。名号に遇って闇が破られて願が満たされる、こう信ずる。そういうことにおいて成り立つものが真仏弟子である。そのご自釈で、「この信・行に由(よ)って、必ず大涅槃を超証すべきがゆえに、「真仏弟子」と曰う」(『聖典』245頁)と。大涅槃を超証する。この超証は横超です。横超の超越をいただくことが真仏弟子なのだと。

 そのことにおいて、「それ至心ありて安楽国に生まれんと願ずれば、智慧明らかに達し、功徳殊勝を得べし」(同上)と、先ほどの『無量寿経』の言葉を引用される。願生すればそういう功徳が起こるのだと。この願生は、先ほどの本願成就文の「願生彼国 即得往生 住不退転」の願生です。願生は即ち得生、「願生彼国 即得往生」という事実に出遇う。出遇わしめる原理が至心回向です。至心回向を受けるなら、「願生得生 住不退転」。住不退転という利益が願生者に与えられる。この至心回向は如来のお心だと。如来の至心が「南無阿弥陀仏」として呼びかけてくださっているのだと。「我が名を称えよ、我が名を念ぜよ」と。そういうふうにして我々を包んで止まない大悲の願心に触れるという事実、それが信の一念に立つということだと。願生すれば得生する。願生の位くらいと得生の位は時が別ではありませんから、それが一念の内容です。それは「前念命終(みょうじゅう) 後念即生(そくしょう)」、前の念に死んで後の念に生まれかわる。常に今、念々に南無阿弥陀仏と共に流転の命が本願の命によみがえる。そういう事実を我々は生きていく。信の一念に過去と未来を包む。そういうように本願と値遇(ちぐう)する。

 信の一念をいただくということは、本願力に出遇うことにおいて横超断四流、つまり迷いの命が断たれるような、生死と涅槃との分水嶺(ぶんすいれい)に立つことができるのだと。自分で立つわけではない。横超の本願力によって分水嶺に立つことが成り立つと言うのです。
(文責:親鸞仏教センター)
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