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研究活動報告
現代と親鸞の研究会
 2003年5月16日、東京ガーデンパレス(文京区)において、東北学院大学名誉教授の浅見定雄氏を迎え、「現代と親鸞の研究会」を開催した。
 「日本脱カルト研究会」(JDCC)の代表理事も務められ、カルト問題に精通された浅見氏に、カルトの予防と宗教教育について語っていただいた。当日は、助言者として元朝日新聞東京本社・「こころ」編集長の菅原伸郎氏に同席いただき、忌憚のないご意見をいただいた。ここにその一部を紹介する。(本多雅人)
カルトの予防と宗教教育

東北学院大学名誉教授 浅見 定雄
■カルトの予防−破壊的カルトのマインド・コントロール
 カルトの予防に対して有効なのは、「マインド・コントロール」(mind control)についての知識だというのが私の考えです。私の公理は、「カルトは必ずマインド・コントロールを使う」ということです。その理由は、ふつうの人間に悪いことを良いことだと思わせるためには、それなりの精神操作が必要だからです。そうでなければ、もともと素直で優秀だった若者たちが、サリンを撒(ま)いたり、霊感商法をしたりするはずがないのです。他人の心を自分の目的(欲望や野心)のために、しかも本人には納得ずくだと思わせながら心を操作するのが、「破壊的カルトのマインド・コントロール」です。具体的に見ていくと、カルトは、まず勧誘段階では正体を偽り、本当のことは言いません。中身も教えない。これは、宗教ばかりでなく、悪徳商法でも自己啓発セミナーでも同じです。
 そこでそれに対する予防ということですが、どのような勧誘でも、まず何かに誘われたら、その段階で「誘われたままについて行ったら、最後に私は何をさせられているのでしょうか」と尋ねることです。相手側は、決して「最後は、高いものを買わされています」とか、「出家させられて、平均睡眠時間が4時間で、こき使われています」とか、「サリンを撒かされています」とは言えません。誘われた最初の段階で、最後は何をさせられるのかということを聞くことが一番いいと思います。  それからもう一つの予防は、その場ですぐに決めないで、「私は今日、街頭でこういう誘いを受けた」と、家族や友人に語ることです。すると、「それ、まずいぞ、A教団かも知れないよ」などと言ってくれる人がいるでしょう。
 では次に、もし入り口で防げなくて、カルトに入ってしまった場合についてお話します。カルトは、必ず途中で「実は、ここはA教団です」とか、「実は、中級コースがあるんです」と言うように、初め誘った時と話が変わってきます。つまり、カルトというのは、エレベーターのように、同じ場所からまっすぐに上に登っていくのではなくて、石段を登るように、気がついてみるとスタート地点とはだいぶ違ったところへと連れて行かれてしまうのです。
 そういうことがあるので、たとえ兄弟姉妹であっても、どんなに親しい職場の先輩や恋人であっても、途中で話が変わってきたなと思ったら、その段階で断固としてやめることです。
 ここまでが、早期治療も含めた予防です。こういう内容を前もって教えておくことが、子どもたちやご門徒の方々に役立つぎりぎりの線だと思っています。
 ただし、これ以上深入りした場合には、専門家のお世話になるしかありません。宗教者や心理カウンセラーのほかに、最近は、弁護士さんも、随分、精神的にも助けになってくださる場合が多いです。
■宗教教育−教育基本法と宗教教育
 わが家の子育ての経験から申しますと、日本の教育は小学校まではまだ我慢できるのですが、中学になると突然「管理」と「選別」が激しくなります。そのため、子どもたちには本当に信用できる「居場所」がなくなり、それが後に、彼らをカルトのような幻想的「居場所」へ走らせる原因にもなるのだと思います。
 管理教育やいじめをたくさん受け、それに慣れてくると、カルトの管理や虐待にも順応してしまうのです。あるいは逆に、管理教育やいじめに反発して別の世界に行きたいと思うと、その行き先がカルトであったりするわけです。そういう意味では、順応しても、反発しても、若者はカルトへ行く危険があります。ところが、このようにたくさんの問題が社会や教育のほうにあるのに、「キレる」などと言って、これを理由に、もっと子どもたちを人工的に良くしようということで、今、「教育基本法」の改正が、問題になったりしています。これは本末転倒だと私は思います。
 きょうご同席いただいている菅原伸郎さんは、著書のなかで、宗教教育について5つの教育(宗教知識教育・宗派教育・宗教的情操教育・対宗教安全教育・宗教寛容教育)を挙げ、「やれることから始めよう」と訴えかけておられますが、「教育基本法」の改正で、特に注目されているのが「宗教的情操教育」です。これについて菅原さんは、人間の根源的な情操教育としては、特定の「宗教的感情」よりも、もうひとつ手前で、しかも普遍的な「生とは何か」「死とは」「自分とは」というようなことを深く考えさせる教育が必要ではないかと提言しておられます。私の考えもこれと非常に近いです。政府の学習指導要領の言うような、「自然(を超えたもの)への畏敬の念」などというものを公立の先生がみな生徒に教えるべきだと言われたら、自然界についてそんな感情を持っていない先生は、自分の良心を偽って生徒に教えることになります。不誠実なことほど、教育で悪いことはありません。しかしどんな教師でも、「たとえば私個人は無神論者だけれど、世界中にはこんなにいろいろな宗教があって、その人たちもみな同じ地球の仲間だよ」というように、知的でしかも寛容な内容なら、いくらでも語れるはずです。そういう意味からも、宗教教育は、「情操」よりもまず生徒の知的好奇心に訴えて行うべきだと私は考えています。
(文責:親鸞仏教センター)
※浅見定雄氏の問題提起と質疑は、『現代と親鸞』第5号(6月1日号)に掲載予定です。
浅見 定雄(あさみ さだお) 東北学院大学名誉教授
1931年、山梨県生まれ。東京神学大学博士課程修了、ハーバード大学神学部博士課程卒業、神学博士。著書に、『にせユダヤ人と日本人』(朝日新聞社)、『新宗教と日本人』『聖書と日本人』『偽預言者に心せよ!〈日本人を考える〉』(以上、晩聲社)、『旧約聖書に強くなる本』『原理運動=統一教会−その見極めかたと対策−』『なぜカルト宗教は生まれるのか』(以上、日本基督教団出版局)、訳書にスティーブン・ハッサン『マインド・コントロールの恐怖』(恒友出版)などがある。また、『アンジャリ』第4号に「カルトと現代病理」を執筆いただいている。
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