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研究活動報告
英訳『教行信証』研究会
 英訳『教行信証』研究会は親鸞仏教センター開設当初から開催されており、2011年1月で124回を数える。鈴木大拙師の英訳『教行信証』を学ぶことにより、見えてくるものは、師の親鸞理解の深さである。
念仏の内実としての一念

親鸞仏教センター嘱託研究員 田村 晃徳

 親鸞仏教センターでは英訳『教行信証』研究会と同様に、清沢満之研究会も開設当初から継続されている。清沢満之と鈴木大拙は言うまでもなく、近現代の日本仏教史において欠かすことのできない二人であろう。両者の共通点は世界を相手に宗教、特に仏教を紹介したことにあると言ってよい。英語に長けていた両者はそれぞれ英訳の本を著している。清沢は『宗教哲学骸骨』の英訳“The Skeleton of A Philosophy of Religion”であり、鈴木は多数出版していることは言うまでもない。親鸞仏教センターが両者の研究会を行っていることは示唆(しさ)的である。それは、親鸞の思想を現代に紹介するというときに、念頭に置くべき相手は世界であることを示しているのである。
 また英訳『教行信証』を研究していて思うのは、その著がもつ重要性にもかかわらず、先行研究がほとんどないことである。その点でもセンターが英訳『教行信証』研究会を開催していることには大きな意味があると言える。

 現在は「行巻」を継続して読んでいる。具体的に『真宗聖典』(東本願寺出版部、以下『聖典』と略記)で言えば176頁の『観経四帖疏』のいわゆる「六字釈」までを講読してきた。現代語訳を通じて印象的な箇所は多くあるが、最近の研究会からそのなかの一つを紹介したい。それは念仏の質をめぐっての訳である。
 例えば、「いかんが『護念』と名づくる、と。もし衆生ありて、阿弥陀仏を称念せんこと、もしは七日、一日、下至一声(げしいっしよう)、乃至十声(ないしじっしょう)、一念等に及ぶまで、必ず往生を得と」(『聖典』176頁)の文は次のように英訳されている。

Why is the Sūtra called “Guarded and Thought About [by all Buddhas]”? [Because it is declared in the Sūtra that] if any beings should pronounce the Name of Amida and think of him single-mindedly for seven days, or for one day, just once or ten times, they would surely attain rebirth [in the Pure Land].

 ここで注意されるのは「一念」である。『教行信証』原文において、ここの「一念」がもつ意味は、衆生が阿弥陀仏の名前を称念する回数として理解されるのが通常であろう。それは研究会において参照としている他の翻訳が“single utterance”(“The Collcted Works of Shinran”)としていることからもわかる。だが鈴木は「一念」を“single-mindedly”と訳し、文章全体にかかるように訳している。研究会では次のように訳した。

なぜこの経は(すべての諸仏により)「守られ、念じられている」と呼ばれるのか。(それは経典に次のように説かれているからである)もし、生きとし生けるものが阿弥陀の名前を七日間、あるいは一日、あるいは一回や十回でも、一心に称え、念じるのならば、かならず(浄土に)生まれることを得る。

 これにより「一念」とは回数ではなく、「一心に」という、いわば念仏の内実を示す言葉となっているのである。事実、他の箇所でも大拙は“single-mindedly”を何度も用いている。これは大拙が親鸞の念仏の特徴を「一心」であるとして、それを『教行信証』翻訳の際にも、幅広く用いていることを示す。この点から鈴木は『教行信証』原文をいわば表面的に読むのではなく、親鸞がどのように読んでいるかに着目することを第一として翻訳を進めていることがわかる。鈴木の英訳『教行信証』を講読することは、同時に親鸞がどのような意味で文章を引いているかの確認ともなる。つまり、大拙訳を通して、改めて『教行信証』そのものの思想を再考察する機会にも恵まれていると言えようか。

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