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研究活動報告
英訳『教行信証』研究会
 英訳『教行信証』研究会では、2011年12月13日、東京国際フォーラム(千代田区)において、大谷大学非常勤講師のマイケル・コンウェイ氏をお迎えし、研究会を開催した。「『如実修行相応』としての大行─鈴木大拙訳『教行信証』「行巻」管見─」と題された講義では、氏が英訳『教行信証』に出会ったいきさつをはじめ、「行巻」訳語の諸問題について、豊富に例文を紹介しつつ「如実」という言葉を中心に考察が述べられた。ここにその研究会の一部を報告する。
如実修行相応としての大行─鈴木大拙訳『教行信証』「行巻」管見─

親鸞仏教センター嘱託研究員 田村 晃徳
 コンウェイ氏はシカゴ在住の際、鈴木大拙訳『教行信証』があることを聞く。そして大谷大学入学が決まった後、ミシガン大学でそれを手にすることができた。「総序」の「調達(じょうだつ)、闍世(じゃせ)をして逆害を興ぜしむ」の訳文や脚注を読み「これから学ぼうとしていることの濃さ」を感じ「少し怖くなった」という。来日当初はゴールデンウィークを利用して、『真宗聖典』と英訳『教行信証』を読み比べていた。
 その中で「信巻」の「三一問答」の結釈である「如実修行相応故」の訳を読み感動したという。その訳は次の通りである。
‘the practice that is truly in accordance with Reality as-it-is’
 「現実そのものに即している行」というこの文章に出会い、求めているものはこれだと感じ、頭からなかなか離れなかった。しかし、その一方でなぜ称名が「如実修行相応」となるのかについての疑問は解けなかった。今回の研究会のテーマは、氏のそのような問いに由来するものである。
 氏は、①「如実修行相応」について、②「実」の翻訳の用例について、③「行」及び「業」の諸翻訳の用例について、④「行」の訳語の意味確認、⑤鈴木訳に照らされる如彼名義如実修行相応の大行、という構成で講義をされた。
 ①では、まず「如実修行相応」について英訳『教行信証』から訳文を抜粋したうえで、その見解を述べた。例えば、「行巻」所収の「かの如来の名(みな)を称す。かの如来の光明智相のごとく、かの名義のごとく、実のごとく修行し相応せん」(『真宗聖典』169頁、東本願寺出版部〈以下、『聖典』と略記〉)の英訳文を引かれた。
‘It is the practice of pronouncing the Name of the Nyorai truly in accordance with the Light of Nyorai's wisdom, the signification of his Name, and Reality as-it-is.’
 氏は、「名義の如く」と「実の如く」という原文の文字は互いに呼応しているように感じるという。「名号の意味」と「現実に即した」ということが同じであることを言おうとしているのだ、と指摘された。氏が仏教に関心を抱くようになったのは、大拙が‘Reality as-it-is’、そして親鸞聖人が「真実」と述べられる真実への関心からであった。キリスト教徒であった幼いときに、その存在を証明することのできない「神」を信じることに対し疑問を抱き、それを自分の生活の基盤にはできないと感じていた。何が真実なのかを知りたいという要求が以前からあったので、現実を本当に見据えることを目的とする仏教の精神に魅力を感じたという。
 ②については、「行巻」冒頭御自釈中の一文である「真如一実の功徳宝海なり」(『聖典』157頁)についての次の英訳文に注目された。
‘The Name is the treasure-ocean of the merits accruing from the absolute reality of Suchness.’
 氏はこの文章で、大拙が原文にはない‘The Name’、つまり如来の「名(みな)」という言葉を加えて訳していることに注意する。大拙の訳では、「真如一実功徳大宝海」とは如来の名(‘The Name’)を指しているのである。この翻訳には南無阿弥陀仏という名号が、真如一実の功徳の宝海そのものであり、南無阿弥陀仏という言葉のなかに、そのような真如一実のはたらきがあるということが明確にされている。また、‘absolute reality’という「絶対なる真実」「絶対なる現実」という訳語にも注目する。仏教では人間は無明であり、真実に暗いとされる。そのような人間の無明を晴らすものとして名があり、それはまた、人間を‘absolute reality’へ導くものとしての名であることが訳されているのだと述べられた。
 ③については英訳『教行信証』における「行」と「業」の訳語について触れられた。特に大拙が「行」の訳語について苦労していることを指摘し、大拙は‘practice’という語はあまり好まなかったのではないかと述べられた。氏は、大拙が大行の翻訳として好まなかった理由について、‘practice’が何かを得るための行為という意味があることを踏まえたうえで「大行である南無阿弥陀仏は何かの手段ではないということを感じておられた」からではないかと述べられた。傾聴すべき意見である。
 ④においてさらに訳語の確認をし、⑤では氏が「如彼名義如実修行相応」の翻訳を自ら次のように提示された。
‘The great living that works out emancipation by coming into accord with Reality as-it-is through hearing the signification of the Name’
 この英訳には、「大行は、名(みな)の意味を聞くことを通して、ありのままの現実に相応することで、解脱を成り立たせていく生活である」という意味が込められているとされた。名前の意味を聞くことを通して、無明に依った生活ではなく、智慧に基づく生活となる。それが‘great living’としての大行であることを述べられた。
 その後の質疑応答も活発に行われ、今後の研究会に指針を与えていただける講義であった。

マイケル・コンウェイ(Michael Conway) 大谷大学非常勤講師
1976年米国シカゴ市生まれ。1997年米国イリノイ州ノースウェスタン大学卒業。2003年大谷大学大学院修士課程真宗学専攻入学。2009〜2011年大谷大学助教。2011年より同大学非常勤講師。2011年大谷大学大学院にて博士号修得。2011年より東方仏教徒協会編集者。専門は真宗学。
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