親鸞仏教センター
お問い合わせ
 
「現代を生きる人々」と対話するために
HOME親鸞仏教センター概要アクセスサイトマップ
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内ブックレビュー
 HOME > 研究活動報告 > 清沢満之研究会
研究活動報告
清沢満之研究会
 本研究会では、今期より、「他力門哲学骸骨試稿」(以下「試稿」と略)をあらためて取り上げる。このテキストは、すでに本研究会の枠内で、伊東恵深元研究員によってあつかわれたものである。伊東氏においては、とくに「浄土真宗の教理」との関わり、あるいは「他力門仏教への帰依」という観点からこのテキストが精読された。今期では角度を変え、哲学・思想史的観点から「試稿」を読み解くという試みを行っていく。
「他力門哲学骸骨試稿」再読
  ―新たな清沢満之の
         宗教哲学研究に向けて―


親鸞仏教センター研究員 長谷川 琢哉
 近年の哲学者としての清沢満之の再評価は、今村仁司氏の研究に始まった。今村氏は「信念の人」としてのイメージが強かった清沢の「哲学者」としての側面に光をあて、『宗教哲学骸骨』や「試稿」のような「哲学的」諸論考を高く評価した。これにより清沢の哲学は広く一般に注目を集めることとなった。しかし今村氏の研究は、時に清沢の用語法を逸脱し、ほとんど独自の思想として展開されたものでもあった。また、哲学者としての側面があまりに強調されすぎたため、哲学と宗教をめぐる清沢の実際の歩みをとらえ損なうということも生じていた。

 こうした研究上の問題を避けつつ、あらためて清沢満之の「宗教哲学」(あるいは「宗教」と「哲学」)の意義を問い直すこと。これが本研究会の基本的な目標となる。そして、そのためのアプローチとして、本研究会では、とくに哲学・思想史的な観点を導入したい。清沢満之の宗教哲学を適切に評価するためには、その思索と信仰がどのような文脈から生じたのかをできる限り詳細に明らかにする必要があるのではないか。清沢において西洋哲学と仏教との出会いが生じたとすれば、それは少なくとも彼に先行する歴史(言い換えれば「近代化」というグローバルな過程)のなかで起こったものである。そうした歴史のなかで清沢満之のみが問い、答えることができた問題とはいかなるものであったのか。そうした文脈をひとつずつ読み解いていくことで、はじめて彼の思索と信仰の独自性が理解できるのではないだろうか。

 そして、このような視点は、本研究会が主題的にあつかう「他力門哲学骸骨試稿」の再読にとっても重要なものとなる。「試稿」において清沢は、哲学と宗教に対するそれまでの態度をあらため、明確に「他力門」の立場に立った思索を行うようになる。それは、自身の病を契機とした転回であった。しかし、「試稿」に始まる清沢の思索と信仰の転回は、彼個人の体験に還元しきれるものでもないだろう。実際、清沢はさまざまな機会に、明治仏教が進むべき方向について語っていた。そこでは「哲学」ではなく、「宗教」あるいは「信仰」に基づく仏教の必要性が歴史的な要請として示されているのである。哲学から信仰への転回は、清沢自身の歩みであると同時に、明治期の仏教思想が進むべき歩みでもあったのだ。そうである以上、「試稿」を中心に展開される「他力門」哲学の意義を見積もるためにも、明治期の哲学・思想史的文脈からの理解が不可欠なのである。

 なお、以上のような観点から「試稿」を読解し、清沢の宗教哲学に光をあてようと試みる場合、多くの基礎的な調査・研究が必要となる。基礎資料の整理等の地道な作業こそが、新たな清沢満之の宗教哲学研究を切り開くのではないか。そしてそのことが、ひいては清沢満之の現代的意味の究明に繫(つな)がるのではないか。そうした期待をもって、今後の研究会を進めていきたい。
Backnember ページトップへ
公開講座 親鸞思想の解明 現代と親鸞の研究英訳『教行信証』研究会
清沢満之研究会 聖典の試訳『尊号真像銘文』研究会 「『教行信証』と善導」研究会
『西方指南抄』研究会親鸞仏教センター研究交流サロン インタビュー
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内バックナンバー一覧
親鸞仏教センター
MAP
親鸞仏教センターfacebook

親鸞仏教センター [真宗大谷派]<br>〒113-0034 東京都文京区湯島2-19-11
TEL 03-3814-4900 
FAX 03-3814-4901 
mail:shinran@higashihonganji.or.jp
 
掲載の記事・写真の無断転載を禁じます
Copyright©The Center for Shin Buddhist Studies. All rights reserved.
ホーム 親鸞仏教センター概要 講座のご案内 スタッフ紹介 バックナンバー一覧 リンク サイトマップ アクセス