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研究活動報告
「正信念仏偈」研究会
 2020年11月2 日、「正信念仏偈」研究会の外部講師招聘研究会では、四方田犬彦氏をお招きした。幾度かの延期を経て、オンライン上での開催となった。四方田氏は『親鸞への接近』(工作舎、2018年)で独自の『顕浄土真実教行証文類』(以下、『教行信証』)読解を展開し、以降の著作でも親鸞に言及している。
 今現在の四方田氏はいかなる視座、いかなる問いをもって親鸞に接近するのか。同時に私たちは親鸞にいかに迫り得るか——自らの問いを見つめなおす機会ともなった。ここでは多岐にわたる内容のうち、ひとまず領解し得た内容のみを記す。
(親鸞仏教センター研究員 東 真行)

 アーカイヴとしての『教行信証』

比較文学、映画研究家
四方田 犬彦 氏
◆親鸞への接近
 四方田氏はかねてから親鸞に関心をもっていた。宗教学を学んだ際に、清沢満之研究でも知られる脇本平也氏のゼミで親鸞についての講義を聞き、『歎異抄』にふれる機会があった。それでも50代を過ぎるまで遠ざかっていたのは、これから学問を追求しようという時に、親鸞の言葉にその根底を突き崩されるような気配を感じ、距離を取ったからだという。しかし、コソボの難民キャンプで日本文化を教えるといった体験を通して、人間の悪と暴力をまのあたりにするうちにもう一度、虚心坦懐に親鸞を読もうと思うようになった。それが2000年代のはじめだったと話された。

 親鸞を読むといっても、信仰者として向き合うのではない。どこまでも文学的テクストとして読むことに専念し、また20世紀以降の日本の思想家や知識人にとって、親鸞の存在がどのような意味をもったのかという問題も考えようとした。その思索のなかで親鸞の思想、そして『教行信証』が多様な読みに耐え得ること、また、どこまで行っても今の時点でこのように読んだとしか言えないと感じたことも語られた。

◆アーカイヴ化と身体化
 講義のなかでは主に二つのことをお話しされた。『教行信証』におけるアーカイヴ化と、身体化についてである。アーカイヴとは、収蔵体を意味する。つまり、アーカイヴ化とは、書かれたテクストの堆積のなかに参入していくということ——書いた人の名前も、読者としての自分の名前も離れて匿名へと向かおうとすることでもある。大乗仏教の経典が作者名を付されていないように、仏教のテクストとして正統性を主張しようとする際に、たとえば『御伝鈔』が「愚禿勧るところ、更にわたくしなし」(『真宗聖典』、735頁)というように、個人の恣意性から離れていくことが重要である。反対に身体化とは、個々の身体をもってテクストに書かれた内容を読み、その内容を生きるという問題である。身体全体を通して仏教に向き合うことであり、この領域に称名念仏はある。そして、このアーカイヴ化と身体化という一見すると矛盾する二点が交差するところに『教行信証』、そして「正信念仏偈」は成立しているのではないか、という議論が展開された。この前提となっているのは、『教行信証』を書かれた言葉、つまりエクリチュールとして見るという視座であり、下田正弘氏の『仏教とエクリチュール 大乗経典の起源と形成』(東京大学出版会、2020)より啓発を受けたとのことであった。

 『教行信証』には、無量寿経を中心軸に先行するテクストを縦横無尽に収蔵するアーカイヴとしての一面が存在すると考え得る。同時にそれを書き記す親鸞は、無量寿経の文言に向き合い、文字通り身をもって読み込んだ人であった。四方田氏はそのことを「たまたま目をふさげば、経の文字の一字も残らず、きららかに、つぶさに見ゆる也」(『真宗聖典』、619頁)と親鸞が語ったという『恵信尼消息』の文言などから確認し、『教行信証』を書く前提には親鸞における仏教の身体化があると述べられ、講義は閉じられた。
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