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「濁浪清風」200回記念特別コラム
意欲の異質性を自覚せよ、と。――願のままに成就しているとは(5)

  本多弘之・親鸞仏教センター所長のコラム「濁浪清風」が200回を数えるのを記念して、ホームページ編集担当から文章を依頼されたのは、私がセンターの古株だからであろう。このコラムは初回からすべて読むことができるようになっている。読者が実際に原文を読んでゆく縁になることを思って、そんなことは言っていないと所長に笑われるかもしれないが、このコラムについて私の見る所を書かせてもらいたい。

(1)内容
 「死後の異次元空間として一般に定着してしまった「あの世」としての浄土を、「化身土(けしんど)」として批判しそれを超えさせて、本願力に信託するなら名号の信心に浄土の功徳たる「真如一実の功徳大宝海」を身心に満ちあふれるようにいただけるのだ、と親鸞は言われた。この意味を真に現代人の精神のふるさととしての「真実報土」として開示していきたいと思うのである」(第82回)。こうした根本思考のもと次の事が言われている。一つは、往生とはこの人生の只中における「生まれ直し」であるということ。二つには、闇(「濁浪」)を離れた救い(「清風」)を考えないということ。闇とは自身の罪性と濁世の苦しみである。法蔵菩薩が「この流転の闇に突入する」(第165回)。この苦しみ多き世界の中で、本当に引き受けるべき苦悩を自己として見出す智慧と出遇うこと。三つには、他力(本願力)を単に自己の外のものとするのでなく、自己存在の中に立ち上がって来る根源的意欲と捉えること。

(2)形式
 このコラムの初回は親鸞の物の見方で始まる。語りにおいて、語りの内容(what)以上に大切なのは、その形式(how)である。人と人との間で、個々の思想内容が相違することがあるのは世の常であり、自然なことであるのに対して、ある種の形式は思想内容の相違にあっても人を結びつけることができるからである。ここで「形式」というのは、姿勢、態度、語り方、方法、すがた、調子、雰囲気といった言葉で示されるもののことである。このコラムの形式をまた三つ挙げてみよう。一つ、自己自身が問題である。このコラムは他の人を批判するところがない。二つ、自身から距離を取る。三つ、大いなるものに見られているという意識を持つ。自分との距離は、自己の他者たる、大いなるものが作り出してくれるのである。「如来のおおいなる願心がいつもわれらをみそなわしていると信じていると[中略]自分から相手の立場に立つというのではなくとも、他(如来)の眼の前に自己を感じているということが、少しずつ人間の自己中心的な固さを柔らかくしてくるのだろう、とも感じられることである」(第9回)。

(3)根本思想に変ずる一形式
 形式は内容に関連する。このコラムの根底的な形式の一つは、浄土教の根本思想に通じている。その形式(姿勢)とは、根源的不満である。
 根源的とは抜き難いということである。この不満は自己に対することを核として、他と状況(場)に対する。自己の生活が、日々、空しく過ぎて行くことに対するのである。幸いなことに、この根源に、他なるものの根源的な呼び声が聞えて来る。それは「静かな、かすかな命の根底からささやきかけるような要求」(第15回)である。又それは、「地下のマグマが地層の裂け目を抜けて吹き出すごとく」(第44回)と言われる。「人間存在の根底に、異郷にさすらう旅人が熱烈に身を焦がすほどの要求として感ずる、「望郷」のごとき志願を与えられている」(第38回)。この故郷(ふるさと)が「浄土」、つまり如来の願心である。この願心が、名号の二種深信として、虚しくさ迷う衆生の根源に立ち上がる。その故に、その願心成就(往生浄土)の中心に、天親の言う「不虚作住持(ふこさじゅうじ)功徳」が押えられる。「仏の功徳とは、その本願力をこころに浮かべ見るなら、もう空(むな)しく過ぎるということがなくなる、そして功徳の大宝が凡夫の身に満ち満つるのだ、と親鸞は註釈している」(同上)。これが衆生の往生浄土の有り姿(さま)なのである。
 願心成就(真実報土)とは、法蔵菩薩が阿弥陀仏に成るということである。それはいつなのか。「彼仏(ひぶつ)今現在成仏」と、法然が善導の言葉を親鸞に示したことが『教行信証』の終りに語られている。かの仏は、信の一念に、浄穢の対立を破り超えて来る。このコラムが「絶対現在」の思想とも呼ぶべきものとなるのは、その根底的な形式からして、宿命的な事であるのだと、私は思う。 (2020年2月)

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