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ブックレビュー(書評)
 
2009年 3月
[特別編] 国府田 隆夫 氏(物理学者・東京大学名誉教授)

世界でいちばん美しい物語』
  ユベール・リーヴズ他 著
  木村 恵一 訳
[ちくま文庫版 735円 2006年]

 昨秋、四名の日本人科学者がノーベル賞を受賞した。素粒子物理学、分子生物化学と分野は違うが、基礎科学が目指す宇宙と生命の根源究明に関わる点では共通している。
 本書は、明敏な科学ジャーナリストが聞き手となり、その問いかけに三名の科学者が答える形で書かれた宇宙と生命の物語である。第一幕、第二幕、第三幕からなる三幕劇の構成で、冒頭のプロローグで物語の粗(あら)筋と三名の対談者が紹介される。聞き手の次の言葉が印象的である。

科学はものから学び、宗教は人を教え諭(さと)す。疑問をもつことが科学の原動力であり、信じることが宗教の絆(きずな)である。だからといってこの両者がまったく無関係だというわけではない。
 続いてフランス科学界を代表する宇宙物理学者、分子生物学者、古生物学者がそれぞれの専門分野の対談相手として登場する。数式や図は一切ない。エスプリの利いた比喩が随所に使われ、難しい話題に生彩を添える。
 たとえば、第一幕、第二場「宇宙の形成」では、ビックバン直後の宇宙が煮え立つスープに、究極の素粒子クォークがそのスープの中のアルファベット形パスタに譬(たと)えられる(ちなみに、この"パスタ"の文字を解読したのが小林・益川両氏だった。)
 クォークから原子へ、原子から星へという宇宙進化のスペクタクルに次いで、第二幕「生命」と第三幕「人類」では地球という小さな惑星の上に現れた生命とその進化の物語が巧みに紡(つむ)がれていく。
 第三幕の幕引後のエピローグで、聞き手と三名の科学者が揃って登場し、生命、人類、宇宙の未来を語り合う。その最後に、次のメッセージが読者に投げかけられて、物語が閉じられる。
意識をもち、好奇心にあふれた存在が、狭い地球にひしめきあい、自らの力に脅(おびや)かされつつ、空を見上げて不安げに問いかける。この美しい世界の物語はこの先どうなっていくのだろうか?
 良質の訳文で、巻末の池内了氏の解説も読み応えがある。重たい内容を軽妙に、しかし誠実に、一般読者に語りかける「科学の物語」として一読に値(あたい)しよう。

(国府田 隆夫)

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