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ブックレビュー(書評)
 
2010年 8月
『命は誰のものか』
  香川 知晶 著 [ディスカバー携書 1,000円 2009年]

 「医療技術の進歩は、はたして人間の幸福につながるのか?」。使い古されたかのように思えるこのテーマは、これまで私にとってどこかリアリティのないものであった。それはひとえに私自身が健康体で、治療を受ける当事者としての感覚が欠けていたことにある。しかし、本書を読むことによって、自分が紛(まぎ)れもなくこの問題の「当事者」であることを認識させられた。例えば、医療技術の進歩によって、出生前診断ということが可能となった。しかし、羊水検査で胎児に重い障害が判明したとき、私はいったいどのような行動を取るだろうか。また、家族が交通事故に遭い、意識が戻る見込みのない状態において、私は延命治療を拒(こば)むことができるだろうか。本書では、このような解答のない生と死の選択問題を、具体的なケースを通していくつも私たちに提示している。医療技術は私たちに選択肢を与えるばかりで、どちらを選ぶべきかまでは教えてくれない。臓器移植法が改正され、7月から施行されることによって、この問題は、さらに私たちの身近に迫ってくることとなるだろう。生命倫理の問題は、もはや医師と患者だけのものではない。現代において私たちは、常に他者の命を左右する「当事者」となる可能性をもっていることを考えていかなければならない。

文責:花園一実(センター研究員)

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2009年 11月
『命は誰のものか
  香川 知晶 著 [ディスカヴァー携書 1000円 2009年]

 「命は大切だ」、私たちはこの言葉を何度聞いてきたことだろう。そしてこれからも聞くに違いないこの言葉は、一面ロマン的な雰囲気を持つ。つまり、実感のない者が語っても、一定の信憑性を与える雰囲気を持っているのである。しかし、命をめぐる現場においては、実に困難な課題が山積していることを、この書からわれわれは教わることになるだろう。本書では、実際に起きた事件、出来事をもとに整理、解説してくれているので、日本を含む、現代社会における命をめぐる諸問題(臓器移植や尊厳死など)についてあらためて知ることができる。そして、その出来事を知るなかで、命とは何かという問いについて私たちは考えることとなるのである。例えばこの書にある次の問いに、あなたはどのように答えるだろうか。「あなたは、薬や医療設備が足りないとき、治療する人を選んでもいいと思いますか?あなたなら、誰を選びますか」。現在の新型インフルエンザのワクチンをめぐっても、この問いが生きていることがよく分かる。

文責:田村晃徳(センター嘱託研究員)
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