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ブックレビュー(書評)
 
2010年 10月
「駆け込み訴え」−『富嶽百景 走れメロス 他八篇』より
  太宰治 著 [岩波文庫 500円 1957年]

  「この純粋の愛の貪欲のまえには、どんな刑罰も、どんな地獄の業火も問題でない。私は私の生き方を生き抜く。身震いするほどに固く決意しました。」
 本短編は、イエスを「売る」ことを決意し、役所に駆け込んだユダ自身の「声」のみで構成されている。駆け込みの勢いそのままに激白し続けるユダの語りは、困惑した感情であふれ、まったく支離滅裂であるが、ここに一貫しているのは、意外にも彼自身のイエスへの熱烈な「愛」である。この愛ゆえに彼は自分の手でイエスを売るのであり、地獄の業火も恐ろしくないという。
 親鸞はその師法然との関係を語る文脈で、己(おのれ)自身を省みて「地獄は一定(いちじょう)すみかぞかし」と言っている(『歎異抄』)。親鸞もまた明らかに法然を「愛して」いたはずであるが、本書のユダと『歎異抄』の親鸞の、それぞれが語る「私」の位置はまったく異なっている。現代社会を顧みるとき、いわゆる"宗教事情"に限らず、あらゆる人間関係における核心と問題点が、両者のこの違いに凝縮されてはいないだろうか。

文責:内記洸(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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