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ブックレビュー(書評)
 
2011年 3月
『生物と無生物のあいだ』
  福岡伸一 著 [講談社現代新書 740円 2007年]

 先月、東京で開かれた「親鸞フォーラム」において福岡氏が講演されているのを聴き、数年ぶりに本書を紐解いたが、読者をぐいぐいと引き込んでいく魅力は何度読んでも色あせない。それはひとつには、本書が私たちの関心をさまざまな方面から、実に巧みに引き付けるからであろうか。例えば、あたかもエッセイのような軽快なタッチ、ミステリーを思わせる章立て、生物学をめぐって展開される先人たちの歴史、そして、哲学にも通じるような「動的平衡」という“思想”が、たった一冊の新書に見事におさまっている。
 しかし、それらすべてをひっくるめて、本書の本当の魅力は、そのテーマの「身近さ」にあると思う。「生命とは何か」、「生きているということはどういうことか」という問いは、日常生活においてこそ隠れているものの、一生命体として生きている「私」の意識の底を、私たちの存在の問題として常に流れているはずである。そうした「身近な」問いに対して、氏は自身の体験の言葉――氏自身の「身近さ」――において答えようと試みる。
 最後に、本書は以下の言葉で締めくくられる。
「私たちは、自然の流れの前に跪(ひざまず)く以外に、そして生命のありようをただ記述すること以外に、なすすべはないのである。それは実のところ、あの少年の日々からすでにずっと自明のことだったのだ。」
 科学知というものは普通、「そこから何ができるか」ということと結びついている。その“恩恵”を否定するわけではないが、氏の結論はその意味での科学を明らかに超えている。「何かのため」ではない、ただ「どうあるか」という氏の語りこそが、私たちの存在の最も「身近な」根っこをくすぐるのだ。

文責:内記洸(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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